ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ディーゼル車会合に思う事。8月3日

ドイツをはじめ欧州ではディーゼル車、ガソリン車の生産・販売、また都市への乗り入れ規制の議論が活発である。先月30日にはシュトゥットガルトの裁判所にてディーゼル車禁止の判決が下った。これを受け、昨日8月2日、ベルリンにて自動車産業界の代表とドイツ政府閣僚が緊急会合をおこなった。

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この会合に参加した自動車メーカーはフォルクスワーゲン、ダイムラー、BMW、オーペル、フォード。なお環境保護団体、消費者団体などは会合には呼ばれおらず、またドイツ首相も休暇中で欠席だっという。

 

なおこの会合の背景に2年前のフォルクスワーゲンの排出ガス検査不正行為による消費者の信頼損失という事実を踏まえ、大都市でのディーゼル車走行禁止を回避するだけではなく、失われた信頼とディーゼル車支持率の回復を狙う目的があると推測されている。

 

この会合の結果、各社が国内で販売したディーゼル車、およそ530万台について、排ガス制御ソフトウェアを更新する事、また費用はメーカーが負担する事で政府と自動車メーカーは合意に達したと聞く。またメーカー側はこのソフトウェアの更新で窒素酸化物の排出量を25%から30%削減できるとし、これにより法律で規制されている40µg/m3 (空気)以下まで値が下がる事が期待されている。

 

しかし反対意見もあり、環境団体、ドイツ環境援助機構(Deutsche UmwelthilfeDUH)はこの処置では窒素酸化物排出量はわずか2%から3%の削減になるであろうと懸念している。

ドイツ環境自然保護連盟(Bund für Umwelt und Naturschutz DeutschlandBUND)も不十分な結果であるとコメントを出している。

 

加えてソフトウエアの更

新によって窒素化合物の削減に取り組む事には合意したものの、現時点ではメーカーの対策も義務化しておらず、ヘンドリクス環境相は自動車メーカーに速やかな対応を要求している。

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国民感情もまた色々である。

ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンよりも比較的燃費がよく二酸化炭素の排出もガソリン車より少ない。2020年までに二酸化炭素40%削減を目標にしているドイツはディーゼル車の普及率も高い。さらにクリーンディーゼル車は減税の対象だったと記憶している。故にディーゼル車のメリットを重視する人も多い。

 

しかしながら逆にディーゼル車からの窒素化合物や粒子状物質などによる環境汚染や健康被害を重要視する声も大きい。

加えてディーゼル車・ガソリン車の変わりに電気自動車分野に力を注ぐべきだと言う意見も多い。しかし再生可能エネルギーによる発電が他国に無い速さで進められているドイツだが、現在でも褐炭露天掘りは続けられており、年々露天掘りの面積が広がり、近辺の集落がゴーストタウンと化している。その事実を指摘する人もいる。

(余談)褐炭火力発電の削減政策は行なわれているが、ここ数年褐炭露天掘り予定地に足を運ぶ旅に少しづつ住民が減り、最後には荒れた農地と人が住んでいた状態で残されている家屋をみると非常に寂しい気持ちになる。

また私の目には目先の快適さを優先させる人がまだまだ多い様に映る。2キロの距離の為に車を使用する人。踏み切りや信号待ちで車のエンジンをきらない人。しかしそれらは人其々の生活の中での優先順位や考え方が異なため、私の目に映るのと他の人の目に映るのでは異なる事だろう。ただ私個人としては、少しでも環境に優しくありたい、なぜなら環境や自然は十分に病んでいるので・・・と思いつつ、今日も自転車での移動。自転車用車線の整備をお願いしたいのは、やはり自分も目先の快適さを求めるからなのかもしれない。

 

ソース。

NDR, Tagesspiegel, Zeit Rbb24、他