ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

第二回ディーゼル対談・ベルリン・9月5日

二回ディーゼル対談。

 

ドイツの中・大都市で継続的に窒素化合物がEUの基準値を上回っている事でディーゼル車の禁止の危機にあるドイツの中・大都市。ディーゼル車の禁止を回避すべく、昨日9月4日に第二回ディーゼル対談がベルリンにて行なわた。今回はメルケル首相も出席し、州首相および30の中・大都市の市長(上級市長)が対談に参加した。なおこの中・大都市では窒素化合物の値が継続的に基準値を上回って計測されている都市である。また今回のディーゼル対談は自動車産業界不在でおこなわれた。

     f:id:decohana:20170906034040j:plain

 

この対談で国は州・地方自治区に更に5億ユーロ(約650億円)の資金援助を行いという。これにより総額10億ユーロ(約1300億円)(内訳:国の負担額7億5千万ユーロ(元を正せば税金ですね)、自動車産業界の負担額2億5千万ユーロ)が「クリーンな空気」の為につぎ込まれる事になった。

 

また大気汚染の改善案だが中・大都市における公共のバスや貨物自動車(ゴミ収集車など)の改善、電気バス(車両価格、約9000万円)、電気トラックの導入。また公共交通機関の充実を図り利用者の増加に繋げる試みもある。また交通手段としての自転車使用率の向上を図るため、自転車用車道の設置・改装などが検討されている。

またメルケル首相は具体的な資金運用の為に早急に専門機関を設置する意向である。

 

しかしこの対応策について地方自治体系企業連盟(Verband Kommunaler Unternehmen =VKU)は詳細と具体案が不十分であるとコメント。またディーゼル対談参加者であるケルン市・市長は国の資金援助は長期的には大変有意義なものではあるが、我々ケルン市民が今必要なのは、速急な解決柵であると言う。また緑の党・代表は国政府が自転車車道や中・大都市の公共輸送手段の改善に資本投資する事には賛成であるとするが、大元のディーゼル車の技術改革がなされない事を重く見ており、技術改革の必要性を政府に訴えている。また環境団体グリーンピースは連邦政府が税金から多額の資金を捻出する事は、不正を行なった自動車産業界にその社会的責任を追求すのではなく、逆に自動車産業界に助け船を出す事に等しいと、強く批判。ドイツ環境自然保護連盟(Bund für Umwelt und Naturschutz Deutschland = Bund)は排気ガス問題における政府の対応の不手際の責任を地方自治区に責任転換していると非難している。

 

このように今回の話し合いの結果を不十分・不満足だと捉えているひとも多い。

 

なお自動車産業界は先の第一回ディーゼル対談でエンジン制御ソフトウェアの更新に取り組むとともにディーゼル車の買い換えを促すための費用補助を導入すると言うことで政府と合意している。しかし部品など多くの費用が掛かるハードウエアの交換は行わない。環境省がエンジン制御ソフトウェアのアップ・デートのみで空気汚染が改善されるだろうと言う意見を些か疑問視しているのも係わらず、メルケル首相もハードウェアの交換には反対だと言う。しかしメルケル首相は先の排気ガス詐欺事件について、ドイツの自動車産業の信用損失をであると強調し、自動車産業界は信用の回復ために最善を尽くすべきだと主張。またドイツの自動車産業は国内雇用80万人が排気ガス詐欺事件の影響でリストラにあわないよう、慎重に対応すべきであると言う。

 

 

次回の対談はドイツ統一選挙後の10月末の予定である。選挙結果において、対応策の変更も考えられる。また11月上旬には国際気候会議もドイツで行なわれ温暖化の原因となるCO2についても議論されるだろう。

ソース: Kölner Stadt Anzeiger, Spiegel Online etc.