ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ドイツ・環境・「アフリカのゾウの引越しの話」

Aflikaアフリカ東部に位置する小さな国、マラウイ共和国。国立公園、森林保護区、動物保護区が周辺にあり、自然を満喫できる。また国土の3分の1をが占めマラウイ湖は北海道と九州を合わせたぐらいの大きさだと聞く。

 

今回はヨーロッパの話では無いのだがゾウの引越しの話を紹介。

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マラウィ政府はアフリカゾウの密猟防止キャンペーンの一環として、押収した密猟象牙など6・6トンの焼却をしたっと言う話を聞いたのは昨年の事である。その価値数百万ドルだと言われている。

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現在アフリカゾウは絶滅のおそれがある種に分類されている。ワシントン条約の締結により象牙の取引が禁止になったのは確か80年代の終わりだったと記憶している。しかし90年代の後期になり、一部の国でゾウの生息数が増えすぎたという理由で象牙の取引が再開されると、それに伴い需要、すなわち買い手も急増。結果再び密猟が盛んになったっと聞く。

 

20世紀はじめ、生息していたゾウの数は300万から500万頭だといわれる。調査がなされるようになってから、アフリカ大陸全体としの生息数は減り続け現在は50%まで生息数が減ってしまった。WWFの調査によれば2010年から2012年末までに密猟により命を落としたゾウの数10万頭。現在のゾウの生息数は47万頭だと言われる。

 

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マラウイ共和国にはマラウイ湖につなぐ大きな川が数本流れており、本来ゾウの生息地であった。その数1500頭、しかしその姿が消えはじめ、近年100頭まで減ってしまった。背景には象牙の密猟がある。また近年の人口増加、あるいは干ばつなどによる食料不足によって人間とゾウとの衝突も増え、殺されるゾウも後をたたない。また狭い地域に生息するゾウの数が増えすぎてしまいゾウ自身による環境破壊の問題も多発している。

 

その様な背景があり、ゾウの「引越し」が決まった。近年マラウイ共和国では積極的にゾウの引越しを行なっており、効果を収めている。しかし今回は500頭と言う数を数ヶ月間掛けてコタコタ野生動物保護区(面積約1750km2、香川県よりちょっと小さくいくらい」に移動させるという、大規模プロジェクトになる。なおこの大規模プロジェクトはAfrican Parks (NPO)及び政府機関によって進捗されている。

なおその背景には野生動物を重要な観光資源とし捉えている部分もあるが、私個人の意見としては、「それでも良い」と思う。

 

実際の捕獲方法なのだがレンジャーがヘリコプターからダート銃で鎮静剤をゾウに打つ。その際、ゾウの家族・群れがバラバラにならないよう、一回の作業でゾウの家族・群れを全て捕獲しないといけないらしい。麻酔後、一頭づつ体に番号をスプレーで書いていく。この作業には現地の子供達も参加している。その後クレーン車で一頭づつ大型トラックの荷台に乗せて固定してく。

移動距離300キロ。ゾウ達はコタコタ野生動物保護区とへと運ばれていく。なお麻酔の効果時間は最長で24時間。それまでにすべての作業を終へ、引越し先の柵内までゾウ達を運び込まなければならない。なお到着後、ゾウ達は引越し先の環境になれるまでの数日間は柵内に留まる事になるが、その後柵から放たれる。

 

さてこの引越し費用だが大よそ約160万ドル、日本円で1億6000万弱だと聞く。加えて囲い柵や、パトロール、また法律との調整の為に更なる費用が掛かる。政府資金だけではなく慈善財団からの援助金。また面白い事にオランダ郵便局の発行している宝くじの収益金の一部も寄与されていると聞く。

 

なお余談なのだがこのプロジェクトに英国のハリー王子も一役買っているとの事。一時期そのやんちゃぶりを発揮し世間を騒がす事も多々あったのだが、最近は大分「大人」になったとか。昨年よりサイやゾウなど絶滅が危ぐされている野生動物の保護プロジェクトの為にアフリカをたびたび訪れている。今回もその一貫で何らかの形でプロジェクトに貢献すべく、現地を訪問していると聞く。