ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ドイツ・エネルギー高騰のついて・風力発電には賛成?反対?

PCR検査で(多分)擬陽性がでてしまい、隔離になり予定の飛行機に乗れませんでした。

 

なぜ擬陽性かと言うと、3月にコロナ感染を体験をしたからです。それから回復しました。そして定期的に薬局で抗原検査を受けており、結果は毎度陰性。そして陽性反応の出た翌日に納得がいかなく、再度PCR検査をしてもらった所、結果は陰性でした。しかし一度陽性になってしまうと隔離なので、二度目のPCR検査が陰性でも認めてもらえませんでした。

 

まだまだ色々とハプニングがあったのですが、結果を言うと予定の変更をする事に・・・。

 

 

日本では勉強会に講演者として参加する予定でした。ドイツのエネルギー高騰の話をしようと準備しましたがこれもかなわずでした。

 

エネルギー高騰の詳細を書くと数ページになってしまうので、講演用に準備したスライドの中から、日本で然程知られていない事について書いてみたいと思います。

 

ドイツは2030年までに再生可能エネルギーを総需要の80%をまで増やすという事ですが、現状では再エネは全体の40%よりちょっとばかり多いっと言った状態です。

                    

 

この40%を今後8年間で2倍の80%にするのは風力発電なり太陽光発電なりの設備を「ガンガン」設置していかないと必要エネルギーの80%を賄う事は難しい事だと思います。(加えて言うのであれば作ったエネルギーを効率良く貯蔵する技術も必要)

 

温暖化防止の為に「ガンガン」風力発電設備を作りたい所ですが、そう簡単ではありません。その中で風力発電反対派の声っという物があります。この反対派の懸念は風力発電近くに住む住民の健康被害、環境破壊や生物多様性へのダメージです。これにより設備の新規設置が難しいっと言う現状がドイツにあります。

 

実際に南ドイツのバイエルン州では「住居と風力発電は風量発電の高さに10を掛けた距離だけ離す」というルールがあります。

 

風力発電の風車が100mなら100mx101000m(1キロ)となり、住宅と風車までの距離は最低1km開ける必要があります。風車の高さが200mあれば2キロ離す必要があります。

そして住宅地から2キロ離れれば次の住宅地になってしまいます。

 

なお現在、エネルギー高騰により緩和案が検討されており、高風車の高さに関係なく1キロの距離を離せば新規風車の設置を許可するという方向にすすんでいるそうです。また高速道路沿いや工場地など騒音や多かり少なかり環境負荷のある所にも風車の新設を増やしていくと言うそうです。

 

また生態系、取り分け渡り鳥やコウモリがプロペラに巻き込まれてしまう事を懸念する意見も多くきかれます。

 

コウモリについては私の大学時代の同僚が調査を行っており、彼らの調整によるとコウモリが風車に巻き込まれ夜があると言う事です。月齢によるのか、コウモリの獲物になる虫の行動によるにはか不明だそうですが。まだ最近の研究データによると、定住しているコウモリの種ではなく移動や渡りをするコウモリが風車に巻き込まれるっと言う調査を発表しています。定住している種は風車を学習している可能性も高いと自分は思います。

 

渡り鳥ではないのですがドイツ・欧州にはあか鳶と言う大型の猛禽類がいます。この鳥はイギリスでは一度絶滅したほど数が減った時期もあるそうです。このあか鳶の世界個体の90%以上は欧州におり、また40%以上はドイツにいる為、ドイツではこのあか鳶の保護も行われています。

 

そしてこのあか鳶の生息値と風車の設置場所が重なる為に新規風車の設置案の半数は許可が降りないとも言われています。

 

ここでも風力発電賛成派と反対派の対立が発生しています。

 

 

なお風車の設置とは直接関係ないのですがドイツ・イタリア・フランスなどの国を中心に欧州プロジェクトによるあか鳶の生息調査と言うのは2013年から行われいます。その調査の一つにこの鳥の死亡原因の追及も行われいます。調査開始より今日まで1500以上の個体にGPSセンサーをつけ、その生態を調査しています。そして死亡と同時にその個体とGPSを回収しています。そしてその死亡個体で死因を調べています。現在まで1330の個体でGPSを回収したとの事です。

 

昨年末の中間報告では欧州内の426羽での死因が発表されていました。それによると風車に巻き込まれてたり衝突で死んでしまいっと言う個体はさほど多くないっと言うデータがでています。また一番多い死因は敵に捕食されてしまう事だそうです。そして2番目に多い死因は興味深い事に中毒死だと言うそうです。

 

    

 

これはあか鳶が畑なのでネズミなどを狩るのですが、このネズミがネズミ捕りの毒を食べている事があるそうです。ネズミ捕りの毒は数日かけてネズミに利き、少しづつ弱ってきます。そして弱ったネズミは元気なネズミよりもより簡単に捕食されてしまいます。

 

つまりネズミ捕りの毒が間接的にあか鳶を害をあたえているっと言う事です。

 

なおこの調査データについてですが既にNABUや野鳥保護団体からいろいろと「突っ込み」や「反対意見」が書面で発表されており、私自身、この欧州プロジェクトの最終報告に大変興味があります。

 

さて上のほうで「あか鳶の保護」について少し記述しましたが、その保護の一例として風力発電会社により行政と一緒にこの鳥の保護をおこなわらている事例もあります。

 

風車の設置地域と生息域がかさなっているあか鳶ですが、人口的に餌やりをおこなったして、集団の個体数の維持をおこなっており、近年は保護の効果が現れており、数が増えていると聞いています。

 

   

 

それでも現実的には風車に巻き込まれる個体やまたあか鳶以外の渡り鳥や猛禽類がいます。

そんな事もありこれから求められるのは「環境にやさしい再エネ」です。

 

いま注目されているのはスマートカメラやセンサーを使用しての衝突防止の監視システムです。1キロ先の大型の鳥を観測できる高性能カメラの使用やAIを使用して鳥の飛行速度や飛行軌道などを計算し、一次的に風車と停止させ、衝突を防ぐシステムなどの研究・開発が進められています。