ノヴァ石器時代
「再生エネルギー」と「new石器時代」という見出しをみた。なんの事か興味があり検索をしてみた。ちなみに見出しを直約すると「新石器時代」となるが歴史の教科書にでてくる時代と混乱無くため、ノヴァ石器時代と勝手に意訳した。
まずは進化の話から。
人類の進化と石の関係は切り離す事はできないだろう。石を投げ自分の身を守り、また石を投げ狩をおこなってきた。そしていつしか石から道具を作る事を学び、それが更なる進化促進の要素の一つになっている事だろう。また石の使用と共に火を使う事も人類進化のなかで重要な要素である。その石と火が結びつき、両者から暖をとる方法も考えだされた。
サウナの本場、フィンランド。話によると1000年だが1500年以前からサウナがあるという。蒔きや電気で熱した石(サウナーストーン)に水をかけ、蒸気を発生させる。冬が長く厳しいフィンランドではサウナは人々の生活文化に根付いている。ただし石を焼くには数時間かかる、何故なら石は温まりにくい性質を持っているからである。しかし温まりにくいが冷めにくくもある。ストーブで焼かれた石は長時間熱を貯めて置くことができる。
日本でも平安時代には(Wikipediaによると平安時代末頃から江戸時代にかけてとある)温石(おんじゃく)といわれる湯たんぽ変わりのものがあり、石を温めて布にくるみ使用したと聞く。
この様に人は石の断熱効果・遮熱効果を利用してきた。
ここから本題。
ノヴァ石器時代とは何の事かと思えば、この石の持つ性質を最新技術に利用する事だと定義できる。
ドイツではエネルギー対策が重要な課題となっているが、昨日ドイツ企業のシーメンスが風力発電でのエネルギー貯槽施設の建設を行なうという記事を読んだ。
ドイツ・ミュンヘンに本社を置くシーメンス。電信、電車、電子機器の製造会社だったが、情報通信、電力関連、交通、医療、防衛、生産設備、家電製品等の製造分野で発展し、また現在はシステム・ソリューション事業などもおこなっている国際企業である(Wikipedia)。
そのシーメンスが石によるエネルギー保存の実験開発を行なっているという。
再生可能エネルギーの普及が進む中(でもドイツでは未だに石炭・褐炭火力発電への依存は高く全体の40%である)、得られたエネルギー、取り分け過剰生産されたエネルギーを安く、効果的に保存するかが課題の一つになっている。エネルギーを安定に供給する為にはエネルギーの貯蔵を含め蓄電の設置や発電出力の抑制等の対策が必要である。
現在色々な企業や研究機関で研究・開発が行なわれている。
大容量充電池や大型エネルギー保存容器(30mもある巨大なコンクリートの球形の建設物で海底700mに設置されている)などがあるが、多くはまだ実験段階であり、加えて高額でもある。実用にいたる為にはクリアーすべき課題も多い。
そのような中でシーメンスが注目したので天然素材である石である。
2016年よりシーメンス、ハンブルク工科大学、ハンブルクエナジー社が研究・開発を行なってきて。
風力発電での超過エネルギーは変電施設に送られる。そのエネルギーはロックフィル(岩石や土砂を積み上げたもの)で作られて塚(蓄熱層)に送られる。ロックフィルの基になっているのは天然の岩石であり、これが600度以上に加熱される。つまりエネルギーを熱として保存する。また電力が必要な場合には、この熱がタービンを回転させ、エネルギーが電力に変換される。
同開発グループでは岩石を効率良く熱する為、25m3の石塚にどの用に熱が伝わるかを研究した。その際250個ものセンサーを使用し、温度変化だけではなく、石塚内の風量や圧力損失など様々なデーターを収集し調査をおこなってという。ロックフィルで使用する岩石は自然界に存在する石である。形も大きさにものバラつきがある。よって熱の伝わり方や岩石の積み方、石塚の形を研究する事重要であるだろう。ちなみに一番効率の良い形は飛行船のような形だと言う。
シーメンスは来年2018年にこの考案・開発したエネルギー貯蔵システムを設置し実証運転を開始する予定であという。エネルギー効率は25%ほどだと言う。25%と言う数字を少なく取らえる人もいるかもしれないが、念頭に置くべきは、風力は無限にあるっと言うことである。(たまには風の吹かない日もあるが・・・・)。また今回は余ったエネルギーを保存することが目的である。余った物を捨ててしまうより、保存できた方が良いにきまっている。
またシーメンスは今後大型施設の建設も検討していくという。100メガワットの電力が貯蔵システムで保存された場合のエネルギー効率は50%ほどだと見込んでいる。また天然の岩石使用で費用も低価格で抑える事ができるという。
ソース: シーメンス・オフィシャルサイト