脱石炭への光、ハムバッハの森の伐採の差し止め
ここしばらくメディアを騒がしているハムバッハの森 (Hambacher Forst)。
本日ノルトラインヴェストファーレン州(NRW州)の高等行政裁判所はRWE社に対し、森の伐採の差し止めを言い渡した。この背景にはドイツの環境団体BUND(ドイツ環境自然保護連盟)が裁判に訴えた事にある。
欧州には生息地指令なるものがあり、野生の動植物及びその生態系を保全する事を目的としている。各EU加盟国が保全の重要性のある地区のリストを作りEUに提出する。この候補地をもとに欧州委員会と加盟国が協議をおこない保全地域のリストを作る。
ハムバッハの森は希少種のコウモリや樹齢何百年の樹木があり、生態系ネットワークを作り上げている。保全対象地域としての条件を十分に満たしている。
しかしNRW州はハムバッハの森を保全候補地のリストに掲載していないと言う。
このような背景のもとで環境団体BUNDはNRW州の鉱物資源庁(RWEに森の伐採、褐炭の採掘の許可を出している州の区官庁)を相手取ってハムバッハの森を保全候補地リストに掲載しなかった事について裁判に訴えたとの事らしい。
NRW州としては州内の産業や経済の事を考え、また伐採や採掘の許可を出した手前、ハムバッハの森を保全対象地域として認めたくない、認めるわけにはいかなかったのではないか?と勝手な憶測を自分はしている。
ケルンにある一審では環境団体BUNDの主張は認められなかったがこれを不服とし高等行政裁判所に控訴したのである。高等行政裁判所は審理を第一審に差し戻し、また第一審が判決を言い渡すまでの間、森の伐採を差し止める判決をだしたのである。
第一審で再び判決がでるまで、数ヶ月から1年もしくは2年掛かると言わる。
脱石炭をめざすドイツ。CO2の排出量を1990年比で40%削減と目標を掲げたのは2007年、11年前である。この時点で石炭発電の将来は無いのである。しかしRWEも州政府もこの11年間、脱石炭の為に何をしてきたのだろうか??脱石炭の為の準備をしてこなかったのだろうか?
再生エネルギー発電は毎年少しづつ増えているが、それでも改善すべき点もまだまだ多い。何故、この11年間で再生エネルギーでの電力安定供給を積極的に進歩させなかったのだろうか?
色々と思う所がある。
ハムバッハの森同様、現在ドイツのメディアを騒がしいているのは古いディーゼル車対策である。
VWのディーゼル車が違法ソフトウェアを搭載し、排気ガスの検査時の排出を減らしている事件が発覚してから既に2、3年経つのではないかだろうか?
また排気ガスからの有害物質もEUの基準を超えている事も明らかになり、大気汚染も明確でる。
政府は昨日古いディーゼル車での市街地に乗り入れ禁止の危機回避のため排ガス対策を発表した。VW事件から3年も経ってからである。
ドイツは何らかの圧力がないとなかなか動かないのではないか・・・と思う事が私生活でもドイツの政策を見ても時折感じる。
ドイツの今日のニュースより