ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ドイツ・褐炭火力発電と森林保護

ここしばらく秋空のなかワイン祭りや収穫祭、またミュンヘンでは今週末からオクトーバーフェルトも開催されなにかとに賑やかな催しが多い。ただし「にぎやか」なのはお祭りだけではない。ここしばらくドイツ国内でいくつものデモが行なわれている。

とりわけドイツ東部に位置するケムニッツでは8月に難民申請者として入国した男らがドイツ人男性を殺害されたことが発端となり ネオナチ、極右政党(AfD)、西洋のイスラム化に反対する反移民団体(Pegida)などのデモが激化している。またこれに反対する極左グループもデモを行い衝突し負傷者もでている。

 

もとろん平和的に遂行されるデモも多い。ケムニッツ市内でも極右過激派の外国人排斥・反難民に抗議する形でオープンエア・ロックコンサートが行なわれ6万人以上があつまった。

また先週末9月16日にはケルンでもケムニッツでの外国人、難民・移民排斥のデモに反対するデモが7000千人規模で行なわれた。

 

ただしドイツ市民の多くが求めているのはすべての移民・難民の受け入れではなく、人道的な政策、ルールに基づいた受け入れである。

このケルンのデモあっが同日「ハムバッハの森」でも4000人規模のデモが行なわれた。これはNRW州にあるドイツ大手のエネルギー会社RWEの褐炭の採掘計画に反対するものであった。ここでは環境活動家らが森林保護を求めキャンプを設営していたが、先日「防火対策」という理由で警察部隊に強制撤去された。

 

さてこのハムバッハの森のなのだがNRW州に残された数少ない森林の中で大規模なものである。NRW州はドイツ最大の産業都市・地域であり、また同時に畑作も多い。歴史を見れば森林の多くが利用可能な土地へを姿を変えていった。ハムバッハの森も例外ではない。地域開発や畑地の開発のため利用された。そしてRWE社による褐炭採掘の為、4100ヘクタールの森林のうち、既に90%にあたる3900ヘクタールが坑されている。RWE社はこの残りの200ヘクタール(東京ドーム約40個分、東京ディズニーランド約4個分)の開発を進めるべく10月より樹木の伐採を行い予定である。

 

 

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ハムバッハの森の中には樹齢350年以上の木も存在じ、希少な動植物が生息している。個人的には「最後の200ヘクタールくらい残してやっても良いだろう・・・」

と思うのだが、これ単純に森の保護VS森の開発という問題ではなく、もっと奥が深いようである。

二酸化炭素の増加か地球温暖化という大きな問題が絡んでいるのである。

 

「二酸化炭素の排出量を2020年まで1990年比で40%削減する」と大きな目標を掲げたドイツ。にも関わらずドイツ政府は今年に入り排出量削減目標は達成不可能との見解を発表している(確か・・・)。しかし同時に40%削減を出来る限り早期に達成したいとも述べている。

 

この40%削減を達成させる為には石炭火力発電りわけ質の悪い(つまり二酸化炭素の排出量が多い)褐炭火力発電の早期停止が必要不可欠である。

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これに対してRWE社も大よさ賛成であるが、現実問題とし下記の点を挙げている。

 

・・1)石炭褐炭火力発電所を閉鎖した場合、エネルギー供給が賄えない懸念(取り分け産業界への供給と不安定供給による景気への影響)

・・2)炭鉱関係者の失業問題

 

・・1)に関してもっともな意見である。RWEのスポークスマンは更に風力発電などの再生可能エネルギーへの転換が進まない事を指摘し、エネルギー転換を加速させないドイツ政府の批判も口にしている。この意見も的を得ている。(ちなみに2017年の再生可能エネルギーの割合は約38%である・・Frauenhofer ISE)

 

電力供給不足を賄うためポーランドや(主に石炭発電)フランス(主に原子力発電)から電力を購入する事も可能だが、この解決策については個人的にもやもやを感じる。

 

・・2)炭鉱関係者の失業問題も実際にそこで働い

ている人にとっては死活問題である。しかし私自身が知る限り多くのドイツ企業は従業員の大幅削減をよく発表する。例えば今年度はドイツ銀行を約1万人規模リストラを検討している話を聞いた。黒字を出している企業でも経営の見直しのためリストラを発表する。失業問題は炭鉱関係者だけの話ではない。

 

話が少し飛ぶがドイツでも失業者は通常、職安に行き、職の斡旋をうける。ただしドイツ職安は失業者に対しかなり理不尽な職を斡旋してくる事もある。ポスドク仲間(研究者)ではペットショップの店員職を斡旋されたり、 工場で顕微鏡を使っての細部を検査する作業を斡旋されたり、更にはで、学生時代にアルバイトで工事現場を経験した利用でドイツ国外の工事現場を斡旋されて知人もいる(欧州内で労働力の移動は自由なので)

 

また現在ドイツでは老人介護で人材が不足しており、職安も介護職に転職するためのコースや資格を斡旋している。

 

そんな感じなので職を失った炭鉱関係者は職を選ばなければ生活ができるだろう(本人の意思や希望が尊重されるかどうか別だが・・・)

 

話がずれだしてきているので、ここで話を1回切りたい。

 

ちょうど今(9月18日)ベルリンで石炭発電委員会 Kohlekommissionが開かれており有識者があつまり石炭発電の今後について議論されている。ここにはRWE関係者ももちろんいる。ドイツの二酸化炭素排出量は昨年より減っていると何処かで読んだ。それでも40%削減を達成するためにはまだまだ削減量は足りない。またRWE社は再生可能エネルギーのみによる電力供給について電力不足を心配するが、一部の専門家からは石炭よりクリーンな天然ガスによる火力発電の稼動を増やす事によって二酸化炭素の削減と不足電力を改善する事ができるのではないかっと言う声もあがっている。

 

 

今回も乱文、誤字・脱字が多い。時間があれば改めて修正したい・・・。