ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ケルンに残されているビルの話

ドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welleとはドイツの国際公共放送局でラジオやテレビ、インターネットでサービスを提供している。とりわけラジオはドイツ語・英語、さらに29ヶ国語で放送されている。

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ドイチェ・ヴェレのビル/Wikimediaより引用

そのドイチェ・ヴェレの建築物がケルンの街中に立っている。建設がはじまったのは1974年、6年を費やし1980年に完成した。高さ138m、34回からなるビルは当時、))近代的様相と中性からのゴシック様式の混じるケルンの街中で脚光を浴びた。当時、1000人もの関係者が建物内で働いていたと聞く。

 

しかしこのビルには、建設当時はまだ禁止になっていなかったに石綿吹き付け剤が各階の防災対策の為に使用されていた。その量は約500トンだと言われる。また吹き付け剤以外にも石綿含有の石膏ボートを多くの箇所に使用されている。2003年には建物内で働いていた1000人もの従業員を連れ、ドイチェ・ヴェレが隣街のボンに引っ越す原因の一つになった言うのがこの石綿である。

 

それから今まで、このビルはケルンの街中に手つかずのまま、放置されていた。

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ベース部分の取り壊し                          エレベータ型のゴンドラの設置                        

現在このビルの解体作業が行なわれている。解体工事が始まったのは2015年の夏である。当初の計画ではまずは敷地内のベース部分を取り壊し、機材やトラック等の為の場所を確保。次のステップとして中央のビルにエレベーター型のゴンドラを設置。これで各階の廃棄物を地上階まで輸送する。また同時に各階を養生隔離し、室内を負圧に保ち、石綿の除去作業が行なわれる。この過程を最上階から下階に向かって進められていく。最終的には骨組のみ残され、爆破解体が行なわれる予定である。なお石綿除去と爆破だけでも数千万ユーロだと言う話である。

 

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 各階は養生隔離され負圧に保たれる。        石綿含有廃棄物はゴンドラで地上階へ。

        

本来のプランでは2017年の春に爆破される予定であったが、石綿除去工事の許可がなかなか下りず、除去工事の着手が先送りなっていた。やっと2017年1月に除去工事が始まったと聞く。

 

爆破解体自体の予定も咲く送りとなり、2018年を目処としている。この建築物が爆破されれば欧州で爆破解体されたビルの中では最も高いビルと言う事になる。

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骨組のみ                        爆破イメージ 

 

 

しかし、このドイチェ・ヴェレのビルの隣に立つ、ドイツラジオにて粉塵や建築物からの破片等による問題、また騒音問題への懸念が高まりつつある。ドイチェ・ヴェレとドイツラジオの隔たりはたったの35mだと言う。故に現在は爆破解体の許可は下りていない。

なお解体跡は住宅地とし整備され750戸の居住住宅が建設される予定でいる。

 

画像の引用:youtube, Deutsche Welle Rückbaukonzept, Bauwens-Unternehmensruppe/Die Wohnkompanie