ドイツ・環境・ゴミの不適正処理の話
Wein(ワイン)畑に囲まれたシュトゥットガルト。市内から約12km程に北にルートヴィヒスブルクと言う街がある。。ヨーロッパ最大規模のバロック宮殿 ルートヴィヒスブルク城が佇む。その庭園の一角にはメルヘンの庭があり、グリム童話の世界が再現されている。シュトゥットガルト中央駅から電車で20分、日帰り旅行に最適である。
そのようなメルヘンの世界とは裏腹のロマンチックとかけ離れた話を紹介。
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ルートヴィヒスブルクの廃棄物回収協会(AVL)はルートヴィヒスブルク郡の100%資本による公益・公共団体であり、廃棄物、つまりゴミ処理事業を行なっている。そのずさな管理・運営が公になり、地元住人に波紋が広がった。
このゴミ処理場は10数年前より建築廃材の最終処理地とし実験的に運営されてきた。しかしAVLの上層部は一般市民に情報公開をすることなく、また同郡管轄の地方行政局に重要報告を怠ったていたと言う過去がある。市民感情を逆なでる行為はそれだけではない。AVLは原子力発電からの撤退ともに発電所の解体で更に生じる建築廃材3300トンの受け入れを容認しているという。
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今年に入り、地元の環境団体がゴミ処理場の状態を独自調査した。その調査写真には産業廃棄物が詰められている廃棄袋が破れたまま、また数週間そのままの状態で放置されてる様子が収められている。廃棄袋の中身は特別管理産業廃棄物に当たる、発がん性の高いアスベスト。他の建材廃棄物と一緒に処理されていた。なお法律では分別して破棄しなければならない。
このような事実が発覚し「健康被害がでるまで数十年かかるアスベストの管理でさえ、ずさんな状態なのに、放射性で汚染された建築廃材の最終処理など安心して任せる事ができない」、結果AVLは市民の信頼を失う事となった。なお昨年度搬入されたアスベストの量は約13000トン。
ルートヴィヒスブルク郡行政局・ハース局長は提出されて写真については「これだけではなんとも言えない」とコメントするものの「毎回正しく処理されている事を証明する事も難しい。この様な事実はあってはならない」と述べた。その背景には市民からの批判・非難を受け入れた場合、同時にAVLの廃棄物処理法違反の疑いが生じる事を懸念しての回答となった。
ちなみに今回のような不適正処理では最高50000ユーロ(575万円)の罰則が科せられる可能性があるとの事。なお日本だと不法投棄の際は5年以下の懲役または1000万円以下の罰金で、不適正処理はまず行政指導だったと記憶している。またドイツではこの様な不適正処理でアスベストの飛散などが起こった場合は傷害罪としての対応になる事もあると聞く。
今回のアスベスト不適正処理の責任とし、ルートヴィヒスブルク郡行政局はアスベストの搬入を停止するともにAVLの処理管理長の解任及び部署の異動を行なった。またAVLの総責任者、並びに直接現場に近い場所で働く技術担当長も市民の批判が強まり辞任に追い込まれたと聞く。
日本のような連帯責任的な概念はあまり無いドイツなのだが、3人の関係者が次々と任務を降りたのは珍しい個人的に思う。なお謝罪は無かったと聞く。
責任をとろうとしない責任者、謝罪をしない責任者も多いドイツだが、そう思うと日本の方が形だけでも謝罪があり、地位のある任務を降りるので、ある意味では潔い良いのかもしれない。