ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

オーストラリア・アスベスト

本当は環境系の話を書きたいのだが、なかなか趣味の時間が取れない。よってまた仕事関係の話になってします。

 

アスベスト炭鉱があった国、オーストラリア。3月のドイツのラジオ(deutschlandfunk)放送でオーストラリアのアスベストの話がされていた。何でも「2019年末には50000人がアスベスト由来の疾病を病んでいる」と予測されているという。

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実際オーストラリアではアスベスト由来の疾病で亡くなる人の数は交通事故での死亡者数を上回る。その数年間約4000人だと聞く。交通事故での死亡者数は1000人前後なので、3倍も多い事になる。

 

なお日本でのアスベスト由来の疾病で亡くなる人の数は年間1500人前後だと聞く。またここドイツでもおおよそ同じような状態で1500名を下まわる事はない。

ちなみに交通事故での死亡者数を見ると日本は4800人、ドイツは3400人であるという(2015年の総務省データーより)

 

ある意味でオーストラリアの交通事故での死亡者数が1000人と言うのも以外である。(人口値で見れば日本もドイツもオーストラリアの人口よりざっと5倍(日本)、3.5倍(ドイツ)ほど多いので簡単な比較はできないが・・・)

 

さてオーストラリアのアスベスト鉱山の歴史は1930年代にスタートしたとどこかで読んだ。そして1940年代はアスベスト鉱山の発掘が進み多くの石綿が採掘されたという。それから40数年が経ちオーストラリア最後の石綿鉱山は閉山となった。

 

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しかし、オーストラリアは今でもこの過去の負の遺産と戦い続けている。

 

とりわけ近年オーストラリアはリフォーム・リノベーションがブームであう。しかしリフォーム・リノベーション工事で石綿に暴露してしまうケースが増えていると聞く。セルフリフォーム・セルフリノベーションも多く、工事を依頼され、石綿のあるを知らずに作業にあたる各業者さんだけではなく、家族やその隣人が知らず知らずのうちに石綿暴露の危険にさらされてしうま。

 

このリフォーム・リノベーションでの石綿暴露のリスクは日本に比べると高いのではないだろうか?

と言うのもこの背景には海外と日本の家屋の寿命の違いや考え方の違いが作用していると自分は考えている。

 

日本の住宅は一世代、一軒、自分の城を築く事が昔の習慣として良しとされる。そうして建築された家屋は30年を過ぎると寿命のようである。

 

欧州では平均85年から90年が寿命だと聞いた事がある。しかし多くの場合リフォーム・リノベーションを行い、それこそ住居の外壁すべて塗りなおしたら、屋根をすべで引きなおしたり、窓枠や窓ガラスを入れ替えたりと手の込んだ事を行う傾向がある。もちろん費用もかかるが・・・。

 

ちなみにウチの周り(都心から1時間のベットタウン)で新築の一軒屋の購入を考えると床面積130m2で3300ユーロ(4000万円くらい)スタートである。加え土地代もかかってくる。(よって結果5000ユーロ、約6300万円くらいである) なおこの額より下の物件は存在しないと言っても良いだろう。また中古物件でも床面積130m2くらいあると土地込みで4000ユーロ(5000万円)くらいは最低必要な金額である。

 

まぁ、何が言いかというと、建築物に価値を置くということである。よってドイツなどはリフォーム・リノベーションにもお金をかけるのである。そして中古物件は「良い」額で売りに出されるのである。

 

話がそれたがオーストラリアも住宅寿命を延ばすべく日本より、より頻繁にリフォーム・リノベーションが行われるのである。

 

なお、このラジオ番組内で興味深い意見が紹介されていた。

 

オーストラリアでは「アスベスト税の導入」を賛賞する声もあると言う。

 

もちろんすべての建築物に石綿があるわけではないので、税金をすべての人から徴収するのは難しいかもしれないが、公害と同じように、社会悪、環境悪とみるのであれば、アスベスト対策を強化するべき「アスベスト税」も有りなのではないか・・・と自分は思う。

 

また建材メーカー、建材販売店などからの「アスベスト税金」の徴収も一つのアイデアだとも言う。

 

 

近年どこの国も同じだが、自然災害とのアスベスト飛散の問題が重要視されている。オーストラリアも例外ではなく気候現象が強まった事による火災や水害の増加で、予期せぬ被害や損害が建築物に生じ石綿飛散リスクを高めている。また建築物の暴風・豪雨による劣化の進行速さも加速されていると聞く。

 

 

ソース:deutschlandfunk

https://www.deutschlandfunkkultur.de/die-folgen-von-australiens-bau-boom-tod-durch-asbest.979.de.html?dram:article_id=443082