ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

アスベスト調査・分析の話:スイス

アスベスト調査の事前義務は無い。しかし情報提供の義務はある。

 

スイスだけではなくドイツもこの方針を使用している。

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また建築物の解体を改装する際に有害物質が周り(人・環境)に悪影響を与えて事を禁止されている。

 

加えて電気工事や屋根工事他、その他のリフォームなどを業者さんに依頼する際やまた除去屋さんに石綿対策を依頼する際に、業者さんを石綿暴露のリスクに曝すのも禁止である。

労災面からみれば、除去や工事をする作業員を石綿リスクから守るのは雇用者の責任だが、雇用者は建築物の所有者から情報収集する義務がある。

 

そして最初に戻るが建築物の所有者は情報を提供する義務がある。

 

「調査実施の有無」ではなく、「石綿含有の有無」を知らせなければいけないと聞く。

「あるかどうかわからない」と言う回答は認められないと言う。

 

結果、建築物の所有者は建築物の解体や改装時には石綿含有の調査・分析を行う事になる。

 

また仮に工事中で偶然にも石綿含有の可能性がでてきた場合、建築物の所有者は直ちに調査・分析依頼をすることになる。

 

某スイスの民間の調査会社の話によると、1日10件ほどのエア・サンプラーでの調査を行うと言う。またこの会社曰く、「近年石綿含有の調査は日常茶飯事」になりつつある。

 

流石スイスだと思った一言である。ドイツではまだまだ「調査をしましょう。義務があります!」と言う啓蒙の部分が多いように思われる。

 

なお自分の憶測だがエア・サンプラーではなく建材調査を入れれば調査数はもっと増えだろう。(建材調査:建材の一部を採取し、石綿含有を調べる。エア・サンプラーより調査時間が少なく、その分調査費も聊か安くなるらしい)

 

スイスはあの悪名高いエタニット社の本社があった国である。よって使用されている石綿も多い。具体的な数字は私自身は知らないのだが、1990年以前の建築物の80%が石綿含有であるといわれている国である。(比較:ドイツは1995年以前の建築物の25%が石綿含有であるといわれている)よって国も市民もアスベスト被害を深刻に考え、アスベスト対策をする事を重要視している姿勢がうかがえる。

 

また社会問題の大きさもあるが、啓蒙活動の成果も有り、加えてスイス人の持つ愛国心、そして安定した国内経済と政治、このような要素が絡みあい、石綿に調査依頼、石綿対策工事の数は多いと聞く。

 

そんな市民への「アスベストの害」の浸透性が高い国でも昨年は83件の工事現場にて工事の即時停止がかかったと聞く。故意的なのか無知なのかは知らないが83件の工事現場にて「情報提供の義務」の怠りが確認されたという。

 

これは主に石綿含有の疑いがあるにも関わらず、事前調査で石綿含有の調査を怠った事など理由であるようだがもちろん、場合によれば工事業者が建築物の所有者に情報提供を求めなかった事も考えられる。

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しかし、仮に工事業者が建築物の所有者に情報提供を求めなかったとしても、建築物の所有者は率先してリスク回避の為に情報提供するべきであるとみなされ、最終的には建築物の所有者の責任が問われる事になる。

 

日本でも2014年に工事を依頼した発注者の責任が強くなったと聞く。「アスベストあったの??知らなかったなぁ・・・」では済まされないだろう。