ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

アスベスト・防塵マスク

Face Bookではすでにアップしたのでがやはり見ずらいので、結果こっちに同じ事を載せる事になってしまう。まぁいいか・・・。

 

呼吸マスクの話

 

勉強になる話を伺った。

何でもアメリカやイギリスでは隔離養生内の石綿濃度が高くなると酸素ボンベに繋いだ呼吸マスクを使用するという。

 

フィルターマスク使用の場合、養生内部の石綿繊維濃度が1000本/Lだとすると、99.9%にあたる999本/Lはマスクのフィルターにキャッチされるのだが0.1%にあたる1本/Lがフィルターを通りぬけ呼吸空気に紛れ込むことになってしまう。

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よって養生内部の石綿繊維濃度が1000本/Lを超えると酸素ボンベを使用すると言う。

 

 

さてここドイツはどうなっているのだろうか?

 

TRGS519という法規制では養生内部の石綿繊維濃度が300本/Lを超えるような場合、カートリッジフィルターと空気を送る為のファンがついた全面マスクを使用する。またこの全面マスクよりさらに優れたものでも良いと記載されている。

 

また4000本/Lを超えるようならカートリッジフィルターと空気を送る為のファンがついた全面マスク使用なのだが、この際にフィルター部及び空気を送るファンと呼吸口が隔離されており、この間をホースがつないでいる。(隔離式全面マスク)

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実際に現場の作業員さんをみると4000本/L以下でも隔離式全面マスクの使用が多いようである。フィルター部及び送気ファン部分が重たいの知れないが、この隔離式全面マスクだとフィルター部及び送気ファン部は作業員さんの腰にベルトで固定される。 (写真。わかるかなぁ、腰にある緑の箱の中に送気ファンがはいっている)

 

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さてイギリスやアメリカでは1000本/Lを超えると酸素ボンベマスクを使用なのだが、ドイツはその4倍である4000本/Lを超えるとやっと隔離式マスクである。

 

では酸素ボンベマスクの使用に関する規則はないのだろうか・・・?

 

リサーチしたがこの質問に関しての答えは「No」である。つまりドイツ法では酸素ボンベマスクの使用に関して、何も規定されていない。

 

ただし国内法の上にある欧州規則では「暴露上限値の50倍を超えるようであれば酸素ボンベ付き全面マスクを推奨」とある。なお暴露上限値だがEUの暴露の上限値は100本/Lである(ドイツ国内の職場環境リスク基準値も100本/L)。 よって50倍にあたる5000本/Lを超えるようなら「酸素ボンベマスクを使いましょう!」という事になる。

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UKやUSAの1000本/Lより大分多いように思える。

 

しかし2007年の文献を見ると、ドイツは当時「6000本/Lを超えると隔離式マスク使用」だったので4000本/Lに基準が下がっただけでも良いとすべきだろう。

 

またどの呼吸マスクを使用するかの最終判断は現場に任される部分も大きいようである。もちろんガイドラインにある最低基準は守られる。

 

たとえばスレート屋根の手払し撤去では、それこそ飛散リスクが低い場合(10本/L以下)、防塵マスクの使用を省略できる。しかし、石綿以外の粉塵を含めホコリが立つ場合があるので使い捨てのマスクの使用が推奨されている。

 

ただし現場での安全対策・リスク認識にもよるがスレートの除去ではやはりフィルター付き反面マスク、フィルター付き使い捨てマスクが常時使用されている。やはり自衛は大事である。