ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

Fridays for Future

ここしばらく高校生が主体のFridays for Futureというデモ活動が毎週金曜に行われているが、その波は世界に幅広く広がっている。

 

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ことの発端は昨年2018年にポーランドで開催された国連気候会議(COP24)で演説をした15歳の少女、グレタ・トゥーンベリ嬢である。彼女のスピーチに胸を打たれた人、彼女のスピーチによって改めて環境について考えるようになった人、こうような人は決して少なくはなかった事だと思う。

 

このグレタ嬢、昨年新学期に学校が始まったのにも関わらず気候変動による危機を訴えるべく、登校ストライキを決行したのである。彼女の活動はSNSやメディアを通じあっという間に広がり、ここドイツの学校の生徒の一部も金曜日に学校を休み、地球温暖化対策の強化を求めるデモを行なうようになったのである。

 

「学校をサボる」とみなし、批判の声もあり、ドイツの自由民主党(FDP)の党首クリスチャンリンドナー氏は「政治に関心がある学生・生徒には賛辞だが、まだまだ世の中の知見が未熟であれ。このような環境問題への取り組みは、我々のようなプロの政治家の仕事である。」(意訳)とコメントしている。

 

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また一般市民の中にも「どうせ学校をサボりたいだけでしょ!」という辛口の意見から「デモは授業が終わった放課後にした方が良いねぇ」というマイルドな意見まで様々である。

 

また批判とは逆に生徒の活動を支援する声も大きい。

 

メルケル首相は生徒の環境意識の向上を賛辞するコメントをだしたと聞く。また学校もデモが行なわれる金曜日の午前中の授業を社会参加型授業やプロジェクト授業とし、生徒が自らプランをつくりプロジェクトとして教室以外で勉強することをサポートする教員達もいる。また生徒の環境活動を支援する両親も少なくはない。

 

先日12日、FDPの党首・リンドナー氏の「環境対策はプロの仕事」発言に反対するコメントが報道された。

 

それ先駆者が(確か?)ベルリンの大学で教壇をとるフォルカー・クルシィング教授である。彼のコメントの中で「我々研究者はこのテーマのプロである。そして声を出して言うのである、若者世代の言う事が正しいと・・・」

 

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今ある社会が温暖化にストップをかけないと、その悪影響・弊害は受けるのは次の世代、またその先の世代である。よって現存する環境問題は彼ら若者の問題である。しかしその原因をつくったのは自分たち祖父母、両親、そして今の世代なのである。

 

環境の変化が進むと人間の生活様式変化するであろう。「人類絶滅」というシナリオは無いとしても、現状を見る限り、地球全体として環境変化は悪い方へ向っているようである。自分の子供、孫が多様性が失われ、選択肢が限られた生活環で生きていく事を今の大人は誰も望まないでろう。

 

クルシィング教授はさらに「12000もの研究者が若者のFridays for Futureを支援する」とステートメントを発表。現役研究者が主体となり若者の環境活動を支援する意味で現在署名活動が行なわれている(Scientist for Future、略してS4F)。なお3月16日現在までの署名した研究者のその数は23000名である。元研究者として自分も後ほど署名するつもりだ。下記、英語のリンクを張っておく。

https://www.scientists4future.org/statement-en/

 

そんな事もあり、特別に環境活動家でもなんでもない自分なのだが、3月15日は元研究仲間の数人とデモに参加してきた。

 

雨の中、朝9時から広場に300人ほどががあつまって。10時を過ぎる頃からから数が増え、また雨も小降りになった事から市内デモ行進をおこなう頃には参加者がさらに増加。総勢3000人から5000人規模のデモに成長した。

 

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3月15日は世界120カ国でFridays for Futureデモが行なわれたと聞く。欧州をはじめ遠くケニヤやインド、アメリカまでその波は広まった。ドイツ国内だけでも総計30万人以上が未来の為に行進をした。

 

なおドイツ政府は環境政策を迅速に進めていくための「環境キャビネット」という名称で各大臣からなるワーキンググループを発足し、環境対策の向上に努めていくという。