ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

アメリカ・同時多発テロ後の癌が増加

アメリカ同時多発テロ事件は今から17年前。この無差別テロ事件の犠牲者数は3千名以上になる。それから17年経ち、先日ほぼ1万人のNY市民が癌だと言うニュースを読んだ。その原因は2001年の同時多発テロと関係すると見られている

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新聞等によると当時ワールドトレードセンタービル・ツインタワーの北棟だけでも4百トンのアスベストが使用されていた。これがビルの崩壊と共にNY市の空中に飛散し、市民5千人以上がこの発がん性の高い繊維に曝露したとされている。また飛散したのはアスベストだけではなく、水銀などの有害な化学物質やさらには微小なセメントやガラス粒子が空中に飛散した、多くの市民がこれらの有害な粉塵を吸い込んでしまったのである

 

 

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The federal World Trade Center Health Program(世界貿易センタービル健康プログラム)は当時、救助活動にあたった人の健康状態のモニタリングを2013年にスタートしたのだが2015年では約3200名、2016年には約8200名が何らかのがんを患っていると発表している。そして今現在癌患者数は9795名だと言う。

 

このプログラムを担当しているCrane医師はテロから17年経った今、年配の患者数が上昇しているという。当時のNY市民で何らかの形でテロの被害にあった人々のうち、現在までに1700名が死亡しているがそのうち癌での死亡数は420名だという。当時救助活動にあたった人々では甲状腺がん、悪性メラノーマ(皮膚癌の一種)を発病しているケースが多くまた膀胱がんの危険も高かまっている。またテロの際に有害物質に曝露した市民では通常よりも乳がん及び非ホジキンリンパ腫(色々な悪性リンパ腫)の割合が高くなっており、また白血病やその他の血液の疾病も増えているという。

 

同時多発テロ事件で出動した警察官や消防隊員では実年齢の肺活量よりも実際の肺活量が減少しているという。(肺活量は通常年齢と共に減少する。ニュースによると警察官や消防隊員の肺活量は実年齢のものより平均12歳年上の肺活量に匹敵するという)。また2年前の論文でも同時多発テロ事件で出動した消防隊員では甲状腺がん、前立腺がんの割合が通常の消防隊員に比べ多くなっているデーターを発表している。このテロでは種々の多環芳香族炭化水素(PAHs)も飛散されており、故にこれらの有害物が甲状腺がん、前立腺がんなどの原因の一部になったと考える事ができる。

 

日本は平和な国であるが自然災害の脅威と向きかっている。大きな地震や災害のたびにアスベストの飛散状態や崩壊した建築物でのアスベストの露出状態等が調査されている。環境省も2017年に「災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル」を発表したくらいなので、災害時のアスベスト飛散というのは懸念されるテーマである。

 

健康被害、環境汚染の危険がある有害物質は建築物の崩壊以前に何らかの対策をする事で減災できる可能性が大きい。是非一度考えてほしいテーマである

 

ソース 

https://nypost.com/2018/08/11/nearly-10k-people-have-gotten-cancer-from-toxic-9-11-dust/

https://www.rt.com/usa/435801-911-dust-cancer-cases/