ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

危険有害物質と労働安全衛生の話

ドイツで大気汚染と有害物質の話しを聞かない日は無い、今日この頃。環境汚染は文明がもたらした負荷であり、市民が環境汚染により健康を害する事は十分ありえるだろう。しかし一般市民よりも健康被害を受ける可能性が大きいのは、そのようなリスクの高い職場で働く人達かもしれない。そんな事を思い、労働安全衛生のお話しをちょこっと書いてみた。

     f:id:decohana:20180309021241j:plain

 

The European Agency for Safety and Health at Work 欧州労働安全衛生機関 (EU-OSHA)というのは1996年に設立された機関でその主な役割は「ヨーロッパの労働環境をより安全で、より健康的で、より生産的にするためにある。この為に知識と情報を集約・共有し、そして危険防止の文化を促進する」(引用:wikipedia)とある。

 

簡単に言うとEU諸国内にて健全で安全な職場づくりを推進すると供に労働安全衛生に関する情報を収集・提供している情報センターである。

 

このEU-OSHA20184月から2年間の予定で健康な職場作りを目指し危険物質の管理」に重点を置きキャンペーンを展開する。職場で危険物質に気づき、そしてどのようにマネージメントしていくかに焦点が当てられてのキャンペーンである。

 

近年、化学物質・化学製品による曝露が増加していると聞く。化学薬品を生産する企業だけの問題かと思うと、そうでもなく、農業、林野業及び漁業が危険有害物質に直面するリスクが高い職場とし挙げられている。またその次に製造業と建設業、加えて廃棄物管理及び水道・電気供給業という職種も危険有害物質に直面するリスクが高い職場とし記載されている。有害な物質は農薬かもしれないし、ヘルスケアで使用するクリーニング剤かもしれない。また印刷機から洩れるトナーかもしれないし。思った以上に健康リスクのある物質は身近にあるという。

 

直ぐに毒性が現れる化学物質よりも今ドイツで問題になっているディーゼルエンジン排出物や技術革新でうまれたナノマテアリアルのように蓄積される事で健康リスクが高まる物質の方が多いかもしれないと自分は思う事もある。

 

ここ数十年間の間でアスベスト(肺疾病・肺癌の主な原因)やポリ塩化ビニル(PVC)(肝臓癌の原因の一つ)など、発ガン性が認められているものに関しては新規製造や使用が禁止・規制されているがEU国内でリスクマネージメントや管理体制がまちまちである。加えてこれらの過去からの負荷は規制こそされているが、例えばアスベストに関しては言えば未だ多くの建築物、装置及び材料などに組み込まれており、労働者に対リスクをもたらしている。なかなか問題解決が進まない状態だある。

 

そんな事をより多くの人に知ってもらい、考えてもらう。そして職場環境を改善し、安全且つ健康に職業に従事してもらうために意味のあるキャンペーンだと自分は思う。

 

なお話しが飛ぶのだが欧州化学物質庁(ECHA)先月2月に化学物質規制調査での違反情報を公開した。EU27カ国、5625製品を対象に分析調査をおこなった結果、全体の18%の製品でECHAが規制しているアスベスト、カドミウム、六価クロム、フタル酸エステル、鉛などが見つかったという。取分けフタル酸エステル類に関しては子供の玩具464製品のうち、約20%の製品で見つかったという。また電気ヒーター、ステンレス製の水筒、車のブレーキパッドなどからはアスベストが検出されたという。

 

そんなニュースを聞くと職場だけではなく、日常生活にも多くの危険有害物質が隠れ潜んでいる。

 

さてキャンペーンの話にもどるが、この期間中には啓蒙活動を含め様々なアクション週間が予定されている。下記リンクで詳細を見る事ができる。

       f:id:decohana:20180309021311j:plain

画像引用 (https://healthy-workplaces.eu)

 

https://osha.europa.eu/en/healthy-workplaces-campaigns/dangerous-substances-18-19

https://healthy-workplaces.eu/

https://echa.europa.eu/-/inspectors-find-phthalates-in-toys-and-asbestos-in-second-hand-products