ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ディーゼル車・市内乗り入れ禁止の危機

1月末、知人がディーゼル車を車検に出した。色々と直す所があり、車検費込みでおおよそ20万ほどかかったいう。自宅から仕事先のケルンへは週2回車で通うという。

 

さて今日2月27日、ドイツ連邦行政裁判所は大都市へのディーセル車の乗り入れ規制は違法しないという見解を示した。

 

ことの起こりは独環境団体DUHがディーゼル車から排気される窒素化合物の値がEUの規定の基準値(0.08g/km)より高くなっていること、つまりEUの環境法令に違反している事を指摘し、環境団体訴訟を起し事にある。環境を守る為、行政に(企業にも??)違法行為の差止と是正を求めてたのである。

 

シュトゥットガルトの地方裁判所は「ディーゼル車の全面禁止は欧州法(EU法)に違反しない」と判断し市内へのディーゼル車の乗り入れ禁止を求める独環境団体DUHの訴えを支持する結果となった。これに基づき2018年1月1日からディーゼル車を禁止するようシュトゥットガルト市に命じたのである。

この判決を不服としシュトゥットガルト、デュッセルドルフの大都市が連邦行政裁判所に上訴していた。

 

しかし今日の裁判ではドイツ連邦行政裁判所は窒素化合物の削減を命じると共に、大都市へのディーセル車乗り入れ禁止は容認できるとし、シュトゥットガルトの地方裁判所の判決を支持する形となった。

 

この判決をうけてドイツ第2の大都市ハンブルクで早ければ今年春先にも市内の一部でディーゼル車及びトラックの乗り入れ規制をするという。他の都市もこれに続く事になるだろう。

 

乗り入れ規制を回避する事は可能だろうか?

 

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さて困るのはディーセル車の所有者である。

欧州排ガス基準「ユーロ5」以下のディーゼル車は窒素酸化物の排出量が多い。よって規制の対象になってしまう。約20万円ほどの修理によって排ガス性能を向上させ技術はすでにあるのだが、法律と規則の国であるドイツではこの修理と排ガス用のフィルター装置の導入の許可がおりていないという。

 

自動車産業界はエンジン制御ソフトウェアの更新に取り組むとともにディーゼル車の買い換えを進めるとしている。また部品など多くの費用が掛かるハードウエアの交換は行わない意向であるという。

 

この新規のフィルター装置があれば助かるディーセル車の所有者が多くいるはずである。しかしこのシステムの使用許可がおりずにいる。自動車産業界はやはり新しい車を売りたいだろう。そんな事を思うとやはり政治と自動車産業界が親密な関係にあると思わずにはいられない。