ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

海面上昇とドイツの市内交通無料化の話

昨日(2月13日)のドイツのニュースで海面の上昇が年々加速している聞いた。それと同時にドイツの大都市の市内交通無料化の話も舞い込んできた。温室ガスと温暖化の問題と市内交通の車の削減。何だがグルーバルな問題に小さな事で対応しようとしているように思われても仕方がないドイツだが、何も対策をしないよりは良いであろう。そんな事を思ったニュースを2本紹介したい。

 

米コロラド大学の研究チームが過去25年間の人工衛星からの地球の海面データーを分析した結果、この25年で7センチ海面が上昇している事が判明したと言う。

 

温暖化による世界的な海面上昇は単なる憶測ではなく、現実的な問題とし、認識が広まっている。しかし、認識の甘さや現実感の乏しさもまだまだある。

 

そのような中で当研究機関は現在のCO2を含む温暖化の要因になっている温室ガスの排出量が現状維持で削減されなければ、2100年には海面が平均65cm上昇するだろうと推計をまとめた。加えてグリーンランドや南極の氷河の融解が加速しているのが原因となり、海面の上昇速度は一定の速さではなく年々加速しているとも指摘している。

 

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海面が65cm上昇すればアメリカや欧州の一部の大都市では高波による災害なども増えるだろう。また太平洋にある多くの島国では現在すでに水没の危機が叫ばれている。国家消滅の危機にあると言っても過言ではないだろう。

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しかし、2100年での海面上昇が65cmとか1mとか大分前から言われているのだが、唯一の対策は海辺の堤防を高くする事位しか対策を行なっていない国が多いっと言うのが私個人の意見である。

 

そんな中で同日ドイツでの市内交通無料化の話も聞いた。

 

車からの排気ガス問題の対策も現在ドイツでは大きな課題となっている。2月22日にはドイツ連邦行政裁判所にてディーゼル車の大都市への乗り入れ規制について裁判が行なわれる。

 

ドイツ連邦政府はそのような中、大都市での近距離公共交通機関(市内バスや路面電車など)の無償化を検討している発表した。公共交通機関の活用で市内に乗り入れる車の数を減らし、大気環境の改善に繋げたいと言う意図である。この対策の有効性を調査すべく、エッセン、ボン、マンハイムと言った大都市に繋がる5の中堅都市でテスト施行されるという。

私個人としては、近距離公共交通機関が無償になれば大変助かる。またこの無償化で失業中の市民や貧困層の市民の行動範囲を広げ、彼らの就活や社会的な生活の向上にも役立つだろうと言われている。

 

しかし懸念される点もいくつかある。

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メディアでの市民へのインタビューを見るとまずは車内の混雑率を心配している事が伺える。JR総武線や小田急線の経験者である自分は「まだまだだなぁ、ドイツ」なんて思ってしまうのだが、日本の通勤ラッシュの混み具合を知らないドイツ市民にとっては混雑で車内で座る席がない事や隣人と肩が触れ合う事など絶えられないかもしれない。

混雑の緩和には交通機関の増量が考えられる。バスに関して本数を増やすしかなかが、市鉄に関して言えば車両を増やして対応する事も可能だろう。

 

やはり一番大きな問題はお金の問題ではないだろうか?

例えばハンブルクの市内公共交通機関の乗車券だけでの年間収益は830万ユーロ、日本円で約10億円ほどである。誰がこの金額をカバーするのだろうか?

加えて交通機関の増量をすれば運転手の増量やバスや市電の車体数の増加も必要になってくる。この費用は何処から捻出するのだろうか?

やはり最終的には税金が使われる事になるのだろう?

 

またもう一つの懸念は移動に掛かる時間である。

交通機関の乗り換えがある場合、待ち時間も掛かる。私個人の経験では、例外的な一部の大都市以外、ドイツの電車の乗り換えや接続は決して良いとは言えない。市民の多くも交通機関の乗り換え時の接続の悪さを指摘している。

マイカー通勤者の多くは公共交通機関の発達が滞ている地域に住んでいたり、また勤め先へのアクセスが不便なため車で通勤している場合も多い。

知人は直線距離で勤務先まで7、8キロなのだが、公共交通機関で移動する場合、市中心部まで一度出てから乗り換えて通勤する事になると言う。時間のロスを考えるとどうしてもマイカー通勤になってしまうという。

 

車社会として発達した旧西ドイツ。

公共機関の交通網もそれに合わせて作られてきた。車の交通量を減らし、公共交通機関の使用を増やす為には無償化だけではなく、それに見合う街づくりやシステムの改善が必要だと自分は思う。