ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

バイエルのモンサント買収のその後とグリホサート

スピリンで有名なドイツの大手医薬品メーカー・バイエルと色々と言われている除草剤グリホサートの製造元・アメリカの大手農薬メーカー・モンサントの買収が決まってから来月9月中旬で約1年。買収金額は660億ドル(約7兆2000億円)だと言われている。この買収でバイエル&モンサント社グループが占める農薬市場、子種市場でのシェアがトップになる。



欧州市場で売り上げが25,000万ユーロ以上(世界規模では売上高が50億ユーロ以上)見込まれる大企業が合併する際には欧州委員会に届ける出る義務がある。これを受け欧州委員会・競争局は欧州競争法の定める独占禁止に反しないかどうか、自由で公正な市場競争が阻害させないかどうかなどを審査する。その結果、競争法に違反という事になると合併・買収に「待った!」が掛かる事になる。



欧州委員会は今回の合併・買収を「農家だけではなく消費者にも影響を及ぼす」と重大視すると共に、市場競争が損なわれる事で価格の高騰、質の低下、選択肢の減少、技術革新の停滞を懸念している。このような弊害が起こらないよう、競争局が慎重に審査を現在行なっていると言う。なお来年1月8日までに審査結果が出されると共に合併・買収が認可されるのか、否かと言う結論が出される事になっている。バイエル社は欧州委員会の審査に全面的に協力するとコメントをだすと共に、年内には欧州委員会の合併・買収許可を得たいと言う。

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ちなみに発がん性の疑いがあるモンサント社の除草剤グリホサート(正しくはラウンドアップという農薬で有効成分がグリホサートだが2017年末に暫定的使用の認可が切れる。それに伴なり欧州委員会は、2017年末までにグリホサートの使用に関し最終結論を出す意向である。現在、欧州化学品庁(ECHA)が発がん性について再調査を行なっており、再認可された場合、グリホサートの使用が今後10年間許可される。

 

一方、グリホサートの禁止使用を求める声も大きい。欧州市民発議の署名が7月3日までに約130万集まっている。(有効署名数は1年で100万人以上)これにより欧州市民からなる市民委員会が欧州委員会にグリホサートの禁止使用を求める発議ができる。なお150万人を目標として署名運動が続けられている。

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ソース。ドイツ環境自然保護連盟、欧州委員会、Zeit-Online、他