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ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ドイツ・環境・「同時多発テロ事件がもたらしたモノ」

月11日

 

アメリカ同時多発テロ事件から15年。この無差別テロ事件の死亡者数は3千名以上になる。またこの事件での家族や友人を失った者、心理的なショックを受けた者、すべての犠牲者を数えると膨大な数字になる事は十分に予測できる。そして、これから健康被害による犠牲者も増えてくると懸念されている。

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当時ニューヨークタイムズ紙アスベストや水銀、その他の有害な化学物質が空中に飛散したと伝え、またWikipedia (ソース: Longitudinal Assessment of Spiromentry in the World Trade Center Medical Monitoring Program)によると、当時の作業員3千名のうち、28%(840名)で肺機能に病的異常が見られていると言う

 

ニュースウィーク誌に因ると世界貿易センタービル・ツインタワーの北棟だけでも当時4百トンのアスベストが使用されていた。この発ガン性の高い繊維がビルの崩壊と共にニューヨーク市の空中に飛散し、市民5千人以上がこの繊維を吸い込んだと想定されている。

 

青石綿(クロシドライト)は高層ビルや劇場大型体育館やホールなど火災予防の為に吹き付け剤として使用されていた。またアスベストの中でもとりわけ発ガン性が高いと言われている。世界貿易センタービルのツインタワーも例外ではなく、この青い石綿が大量に使用されていた。しかしビルの崩壊と共にアスベスト、また建築材などに含まれていた、水銀などが埃とし、地上に降り注いだのである

 

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青石綿(クロシドライト

 

アスベストによる疾病の発病までの潜在期間は、早くとも20年、通常30年から40年だと言われている。その為、今後石綿による肺がん患者の増加が懸念されると共に、疾病と同時多発テロ事件での健康被害の因果関係の証明する事も、今後重要な課題となってくる。

 

Mori et al. 2016 (American Journal of Industrial Medicine)によると同時多発テロ事件で出動した消防隊員では甲状腺がん、前立腺がんの割合が通常の消防隊員に比べ多くなっているらしいという。しかし一方、統計に基づく学術的な知見ははっきりしていないと聞く。自分の知る限りでは甲状腺がん、前立腺がんとアスベストの因果関係は現代医学では特定されていない。通常アスベストによる疾病は肺の異常や胸膜にできる腫瘍とし発病する事が多い。この同時多発テロでは種々の多環芳香族炭化水素(PAHs)も飛散されており、故にこれらの有害物が甲状腺がん、前立腺がんなどの原因の一部になったと考える事もできる。

 

同時多発テロ事件での石綿やその他の有害物質による健康被害が増えてくるのは潜在期間の長さの為に今後だと懸念されている。このテロ事件がもたらした犠牲者の数、引き起こした被害、そして将来おこりうるであろう健康被害、底知れない深さを思い知らされる。

 

ドイツ・ベルリンにアスベスト被害者の救済の為に力を注いでいるる弁護士さんがいる。彼は2001年の同時多発テロ事件の際にドイツ人犠牲者の為に尽力に努めた。その際に石綿による疾病の深刻さ、今後増えるであろうこのテロ事件による健康被害などと言う問題点に直面し、その後アスベスト問題に取り組むようになったと聞く。