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ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ドイツ・環境・「家賃20%Off」

 

ここ数ヶ月、「引越しをしたいなぁ」思いつつ、いくつか物件を見学しているのだが、地下室の仕切り板にそのまま石綿スレート板が使われている物件に遭遇した。

日本では賃貸契約書に石綿調査を行なったか、いなかを記入する欄があると聞くが、ここ、ドイツでは質問しない人の負けである事が多い。つまり借り手は不動産屋なり大家なりに「アスベスト使用してる?」と質問しない限り、貸し手側は不利な情報を提供しない。

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さてこの質問に対し貸し手側「はい・いいえ・わかりません」と言う3つの選択肢から回答をする事になる。「無知は罪にならない」と言う考えがある社会なので貸し手は「わかりません」と答える事が出来、また石綿使用の見解が無くても、調査の義務が生じなし。

故になかなか石綿レジスター、つまり石綿使用建築物の登録システムが普及しない。

 

さて今日はドイツの首都、ベルリンでのアスベスト裁判の判決の紹介。

 

昨年の暮れ某一家は小さな子供をつれ、交通の良い便も良いベルリン市内へ引っ越した。引越しの片付けも済み、5ヶ月が過ぎた。新しい環境に慣れ、生活もやっと落ち着いた矢先に、賃貸住居の床材にアスベストが使用されている事が発覚。即時に賃貸契約を破棄し、それから1ヶ月後に速やかに退去した。

 

通常、賃貸契約の解約については、書面での解約依頼から3ヶ月と言う決まりがある。つまり、今日、住居を退去しても、3ヶ月間、家賃支払い等の義務が生じる。

また引越しをするにあたり、お金も時間もかかる。

まして新しく越してきたばかりなのに、直ちに次の住居を探し、引越しを余技なくされたのでは、心情穏やかでは無い。更に小さな子供がいるのも係わらず、発ガン性の高いアスベスト建材使用の住居は考えものである。

 

今回、問題となったはのはビニール製の床タイルである。このビニール製の床タイルは非飛散性アスベスト建材と言う事で削ったりしなければ、アスベスト繊維が空中に舞う事がないとされる。この一家が新しく入居した際に、既に傷や損傷した床タイルがあったと聞く。これを借り手側である一家が交換を仕様とした際にアスベストの使用が露見したんである。

そのような背景があり、一家は住居の大家を相手取り損害賠償を求め民事裁判を起したのである。

 

地方裁判所での第一審では一家の入居日より退去日までの家賃の20%の引き下げ、またアスベストが発覚する日までの不安要素に対する損害賠償とし、更に5%のの引き下げを命じた。

しかし第二審ではの判決では家賃の20%の引き下げ呑み認められてた。

理由としては損傷のある床タイルは9枚だけだったので、それに見合う額として20%が妥当と言う事であった。しかし通常、アスベストに因る健康被害を訴える際には、石綿飛散を証明すべく、空気中の石綿濃度の測定を行なわなければならない。もちろん費用はそれなりに掛かる。しかし二審の判決では「破損のある石綿含有建材は健康被害の可能性が十分に認められる」と言う事で濃度測定は不要だという結果にあった。

 

この裁判の重要な点は、アスベスト建材が利用されているマンションやアパート、テナントビルなどを貸している所有者や大家などが今後同じ様な理由で民事訴訟で起訴されるかもしれないと言う事である。

 

今回の場合、この貸主の損失は一家が滞在した5ヶ月間の家賃の20%だけで済んだのだが、もし住居者は退去までの3年間の健康被害を訴えた場合、または同じマンショウの他の住居者も似たような理由で同時に訴訟を起した場合、大家側の支払い費用は多くなるだろう。また加えて裁判の費用の負担なども掛かってくる。

実際に石綿関連で総額約500万円の家賃割引をする事になった事例もある。

 

現在、大家やビルのオーナーなどに石綿調査の義務はない。石綿の有無を知らずにいた為に、上記の様に、後になり借り手とトラブルになり、思いがけない費用が掛かってくる場合が増えてきていると聞く。事前にアスベストの「有無」を知っているのであれば、住居者に賃貸契約時に情報を与え、判断を任せる事ができる。

ベルリン市で現在推定8万戸の住居でビニールタイルなどの石綿建材が使われていると言う。住居やビルを貸す側は、自衛の意味を含め、石綿調査をする事を考えるべきだろう。なお調査費用は一検体大よそ約5千円位からだそうだ。

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タイルの下にアスベストがある