ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ドイツ・環境・自然とビールを愛するドイツ人

Natur & Bier (ナチュゥアー&ビァ)自然とビールを愛するドイツ人。

 

多くの企業がCSRとし環境問題への取り組んでいる、今日。その中でクロンバッハ社の環境プロジェクトを紹介したい。

 

クロンバッハ社はケルンから東に200キロほど行った、のどかな田舎町「クロンバッハ」にある醸造所。200年以上の歴史がある。麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とした口当たりが滑らかなピルスナーはドイツで好まれ、飲まれるピルスビールの10杯に1杯はこのクロンバッハのピルスナーであるとも言われている。とりわけ麦芽の風味が強い事から「飲むパン」と言われる所以が納得できる。多くのドイツ人愛され、国内消費量ナンバーワンと言っても過言ではない。

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そのクロンバッハ社がWWF(世界自然保護基金)、NABU(ドイツ自然保護連盟)などと提携し生物多様性保全の為に一役買った。

現在ドイツ国内で約71,500種の動・植物が確認されている。そのうち約1/3の動・植物が希少種・絶滅の恐れがあると数えられており、また今世紀までに6%、約4300種がドイツ国内では絶滅したと言われている。

生物多様性、環境保全はドイツでは決して新しい課題ではい。何十年も取り組んでいるにも関わらず、現在する動植物の生活環境の61%は「悪い環境」としてランク付けされているのが現状だ。

そのような調査結果(最新版2014年)が背景にあり、今回の大規模な生物多様性保全キャンペーンが行なわれた。ちなみにモットーは「保護と満喫」。ビールの味わいを満喫する事と自然を満喫する事がかけてある。

 

簡単に説明するとビール1ケースを購入すると10セント(約11円)が保全プロジェクトに流れる仕組みになっている。さらい小粋なのはビール瓶に貼ってある銘柄ラベルの裏側に動物の写真ステッカーが貼ってあり、これをコレクションをする事もできる。もちろんコレクション用のアルバムも用意されており、「収集」と言う人間本能をくすぐっている。

 

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生物多様性保全キャンペーンでの収益金は具体的には以下の6つのプロジェクトに使われると言う。

1.オオヤマネコ(リンクス):

  ドイツ・フランス国境にあるペルツァーの森への野生復帰・移住計画。

2.カワウソ:

  北ドイツ・ゴーデン村にて、カワウソの生息域の水位の回復

3.カワウソ:

  交通事故防止の為の横断用トンネルの設置。

4.アシナガワシ:

  北ドイツ・ポーランド国境近くにある湿原での原生林保護。

5.アシナガワシ:

 獲物の狩りに適した開けた草原などの保全。

6.ナベコウ(黒コウノトリ):

  ブランデンブルク州。水深が浅い池沼の保護・水質保全。

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キャンペーン期間は4月15日より今月15日までの3ヶ月間。当初の目標金額は1,500,000ユーロだったが最終的には1,862,165ユーロ(約217,661,018円)に達したと言う。計算すると約18、000,000ケースが売れたという事になる。

 

ビールを飲みながら、環境問題について語る。いかにもビールと自然を愛するドイツ人らしき発想ではないだろうか?