ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

アスベスト・防塵マスク

Face Bookではすでにアップしたのでがやはり見ずらいので、結果こっちに同じ事を載せる事になってしまう。まぁいいか・・・。

 

呼吸マスクの話

 

勉強になる話を伺った。

何でもアメリカやイギリスでは隔離養生内の石綿濃度が高くなると酸素ボンベに繋いだ呼吸マスクを使用するという。

 

フィルターマスク使用の場合、養生内部の石綿繊維濃度が1000本/Lだとすると、99.9%にあたる999本/Lはマスクのフィルターにキャッチされるのだが0.1%にあたる1本/Lがフィルターを通りぬけ呼吸空気に紛れ込むことになってしまう。

f:id:decohana:20190503191440j:plain
よって養生内部の石綿繊維濃度が1000本/Lを超えると酸素ボンベを使用すると言う。

 

 

さてここドイツはどうなっているのだろうか?

 

TRGS519という法規制では養生内部の石綿繊維濃度が300本/Lを超えるような場合、カートリッジフィルターと空気を送る為のファンがついた全面マスクを使用する。またこの全面マスクよりさらに優れたものでも良いと記載されている。

 

また4000本/Lを超えるようならカートリッジフィルターと空気を送る為のファンがついた全面マスク使用なのだが、この際にフィルター部及び空気を送るファンと呼吸口が隔離されており、この間をホースがつないでいる。(隔離式全面マスク)

     f:id:decohana:20190503191518j:plain

 

実際に現場の作業員さんをみると4000本/L以下でも隔離式全面マスクの使用が多いようである。フィルター部及び送気ファン部分が重たいの知れないが、この隔離式全面マスクだとフィルター部及び送気ファン部は作業員さんの腰にベルトで固定される。 (写真。わかるかなぁ、腰にある緑の箱の中に送気ファンがはいっている)

 

     f:id:decohana:20190503191740j:plain

 

 

さてイギリスやアメリカでは1000本/Lを超えると酸素ボンベマスクを使用なのだが、ドイツはその4倍である4000本/Lを超えるとやっと隔離式マスクである。

 

では酸素ボンベマスクの使用に関する規則はないのだろうか・・・?

 

リサーチしたがこの質問に関しての答えは「No」である。つまりドイツ法では酸素ボンベマスクの使用に関して、何も規定されていない。

 

ただし国内法の上にある欧州規則では「暴露上限値の50倍を超えるようであれば酸素ボンベ付き全面マスクを推奨」とある。なお暴露上限値だがEUの暴露の上限値は100本/Lである(ドイツ国内の職場環境リスク基準値も100本/L)。 よって50倍にあたる5000本/Lを超えるようなら「酸素ボンベマスクを使いましょう!」という事になる。

      f:id:decohana:20190503191538j:plain
UKやUSAの1000本/Lより大分多いように思える。

 

しかし2007年の文献を見ると、ドイツは当時「6000本/Lを超えると隔離式マスク使用」だったので4000本/Lに基準が下がっただけでも良いとすべきだろう。

 

またどの呼吸マスクを使用するかの最終判断は現場に任される部分も大きいようである。もちろんガイドラインにある最低基準は守られる。

 

たとえばスレート屋根の手払し撤去では、それこそ飛散リスクが低い場合(10本/L以下)、防塵マスクの使用を省略できる。しかし、石綿以外の粉塵を含めホコリが立つ場合があるので使い捨てのマスクの使用が推奨されている。

 

ただし現場での安全対策・リスク認識にもよるがスレートの除去ではやはりフィルター付き反面マスク、フィルター付き使い捨てマスクが常時使用されている。やはり自衛は大事である。









オーストラリア・アスベスト

本当は環境系の話を書きたいのだが、なかなか趣味の時間が取れない。よってまた仕事関係の話になってします。

 

アスベスト炭鉱があった国、オーストラリア。3月のドイツのラジオ(deutschlandfunk)放送でオーストラリアのアスベストの話がされていた。何でも「2019年末には50000人がアスベスト由来の疾病を病んでいる」と予測されているという。

    f:id:decohana:20190503184522j:plain

 

実際オーストラリアではアスベスト由来の疾病で亡くなる人の数は交通事故での死亡者数を上回る。その数年間約4000人だと聞く。交通事故での死亡者数は1000人前後なので、3倍も多い事になる。

 

なお日本でのアスベスト由来の疾病で亡くなる人の数は年間1500人前後だと聞く。またここドイツでもおおよそ同じような状態で1500名を下まわる事はない。

ちなみに交通事故での死亡者数を見ると日本は4800人、ドイツは3400人であるという(2015年の総務省データーより)

 

ある意味でオーストラリアの交通事故での死亡者数が1000人と言うのも以外である。(人口値で見れば日本もドイツもオーストラリアの人口よりざっと5倍(日本)、3.5倍(ドイツ)ほど多いので簡単な比較はできないが・・・)

 

さてオーストラリアのアスベスト鉱山の歴史は1930年代にスタートしたとどこかで読んだ。そして1940年代はアスベスト鉱山の発掘が進み多くの石綿が採掘されたという。それから40数年が経ちオーストラリア最後の石綿鉱山は閉山となった。

 

    f:id:decohana:20190503183945j:plain



しかし、オーストラリアは今でもこの過去の負の遺産と戦い続けている。

 

とりわけ近年オーストラリアはリフォーム・リノベーションがブームであう。しかしリフォーム・リノベーション工事で石綿に暴露してしまうケースが増えていると聞く。セルフリフォーム・セルフリノベーションも多く、工事を依頼され、石綿のあるを知らずに作業にあたる各業者さんだけではなく、家族やその隣人が知らず知らずのうちに石綿暴露の危険にさらされてしうま。

 

このリフォーム・リノベーションでの石綿暴露のリスクは日本に比べると高いのではないだろうか?

と言うのもこの背景には海外と日本の家屋の寿命の違いや考え方の違いが作用していると自分は考えている。

 

日本の住宅は一世代、一軒、自分の城を築く事が昔の習慣として良しとされる。そうして建築された家屋は30年を過ぎると寿命のようである。

 

欧州では平均85年から90年が寿命だと聞いた事がある。しかし多くの場合リフォーム・リノベーションを行い、それこそ住居の外壁すべて塗りなおしたら、屋根をすべで引きなおしたり、窓枠や窓ガラスを入れ替えたりと手の込んだ事を行う傾向がある。もちろん費用もかかるが・・・。

 

ちなみにウチの周り(都心から1時間のベットタウン)で新築の一軒屋の購入を考えると床面積130m2で3300ユーロ(4000万円くらい)スタートである。加え土地代もかかってくる。(よって結果5000ユーロ、約6300万円くらいである) なおこの額より下の物件は存在しないと言っても良いだろう。また中古物件でも床面積130m2くらいあると土地込みで4000ユーロ(5000万円)くらいは最低必要な金額である。

 

まぁ、何が言いかというと、建築物に価値を置くということである。よってドイツなどはリフォーム・リノベーションにもお金をかけるのである。そして中古物件は「良い」額で売りに出されるのである。

 

話がそれたがオーストラリアも住宅寿命を延ばすべく日本より、より頻繁にリフォーム・リノベーションが行われるのである。

 

なお、このラジオ番組内で興味深い意見が紹介されていた。

 

オーストラリアでは「アスベスト税の導入」を賛賞する声もあると言う。

 

もちろんすべての建築物に石綿があるわけではないので、税金をすべての人から徴収するのは難しいかもしれないが、公害と同じように、社会悪、環境悪とみるのであれば、アスベスト対策を強化するべき「アスベスト税」も有りなのではないか・・・と自分は思う。

 

また建材メーカー、建材販売店などからの「アスベスト税金」の徴収も一つのアイデアだとも言う。

 

 

近年どこの国も同じだが、自然災害とのアスベスト飛散の問題が重要視されている。オーストラリアも例外ではなく気候現象が強まった事による火災や水害の増加で、予期せぬ被害や損害が建築物に生じ石綿飛散リスクを高めている。また建築物の暴風・豪雨による劣化の進行速さも加速されていると聞く。

 

 

ソース:deutschlandfunk

https://www.deutschlandfunkkultur.de/die-folgen-von-australiens-bau-boom-tod-durch-asbest.979.de.html?dram:article_id=443082

 

 

 



 

石綿レジスター

石綿含有建築を発見し登録することは重要な課題である。石綿レジスターと言う。公共の建築物に関しては石綿含有調査後に石綿レジスター帳(データーベース化されたもの)に記述することは可能だろうが、民間・個人所有の建築物は個人情報の関係で石綿レジスター帳を作成し、石綿の有無を登録することは難しいと聞く。

       f:id:decohana:20190416205623j:plain



そんななか、進んで石綿含有建築を発見し、それをマッピングしようとする動きもある。

 

オランダと国境を接しているフランデレン地方はベルギーの北半分を占めており、地方政府が設けられている。このフランデレン地方政府は積極的に石綿対策にのりだしおり、2014年にアスベスト排除促進プロジェクトを発進している。

 

同地方は2040年までに石綿無害、アスベスト・セーフのフランデレン地方を目標としており、高リスクである石綿含有建材、例えば石綿含有のスレートの屋根などを2034年を目処に段階的に排除していく計画である。

 

「高リスクである石綿含有建材、例えば石綿含有スレートの屋根」という一言でも分かるように、石綿含有屋根を健康リスクが高いものと捕らえている所でこの地方政府の石綿対策姿勢がここドイツと大部異なる事がわかる。

 

同地方政府は昨年夏、より進歩的な新政策「アクションプラン:Asbestos Reduction/石綿負荷の削減」決めた。そのアクションプランの一つが石綿の発見調査とそのマッピングである。はじめに石綿含有の屋根の検索が行われていると聞く。

 

これは解像度の高いカメラをつんだドローンが上空からの地上を撮影するのだが、その再に繋がっている人工知能(AI)が石綿セメントからなら灰色の屋根や波型スレートの屋根を自動検出すると言うものである。そしてその検出さてたデーターは地図上に、これもまたAIによりマッピングされるという。

 

 

 

               f:id:decohana:20190416205812j:plain


今から20年ほど前に一軒づつ記載されている地図と色鉛筆を持ってパラボラアンテナの普及状態を調査した事があるが、そのような事をドローンが自分で飛んでAIが画像を解析して、更にマッピングしてくれるのである。

  f:id:decohana:20190416205714j:plain

 

なおこのシステムはVision on technology for a better world VITO)というベルギーの研究機関が中心となり開発をおこなったと聞く。

 

   f:id:decohana:20190416205652j:plain

なおこのアクションプランは次の4つの柱からなる。

  • 屋内・屋外の石綿含有建材の発見とマッピング

  • 石綿含有製品の段階的な廃止

  • 高リスクの石綿含有製品の段階的廃止に関する市民への情報提供と率先した取り組み

  • (国)政府に対し模範を示す

 

またこのために2018年、19年に総計2720万ユーロ(約34億5千万円)の予算の準備がある言う。

 

ちなみに日本も年間50億円くらい石綿対策費予算としている。内訳は被害者救済が約33億円、除去・廃棄対策などが約17億円。救済資金を除外しての対策予算約17億円はフランデレン地方の一年当たりの予算(約17億円)と同じである。

ソース:Vision on technology for a better world VITO

    Artificial intelligence to detect asbestos in Flanders

 

 

 

 

 

 

 

 

 







 

石綿濃度を守る知恵・ドイツ

お仕事の話

 

日本では石綿/アスベストの環境濃度、建築物内石綿濃度が決められていないと聞く。ただしまったく何も無いわけではなく1989年の大気汚染防止によると「石綿工場がある場所と一般住宅のある場所での境界付近での気中の石綿濃度の規制基準は10F/L」であるという。今でこそ日本も石綿禁止となり、当時の話である。また汚染元である石綿工場の傍なので当然、一般環境や家庭での室内環境より高い数字に設定されているのであろう。

ちなみに石綿工場の屋外での数字である。工場内の規制値は存在しなくとも、当然のことながら工場内は多くの石綿が浮遊していた事だろう。

 

しかしまぁ昔は石綿の基準値は高かった。例えばこドイツでも1981年の石綿濃度の室内基準値として10FLが推奨されており、WHOでの石綿リスクの基準値も当時は20FLであったと言う。

 

日本の石綿の全面禁止(ただし石綿含有0.1%を超えるものに限ると言うことだが)は2006年だったと記憶している。しかし上記の大気汚染防止法からは30年経っているが未だに10FLという基準値を使用しているようである。

 

ここドイツでも規制値が定まっていないものも多いが存在する主な規制値として下記の4つを挙げることができる(詳細が前回のFBかブロクをご参照)。

・・A) 作業・労働環境の空気中に浮遊する石綿の基準値(作業・労働環境濃度:受け入れ可能濃度・10FL、許容濃度・100FL

・・B) 石綿対策工事中に養生した作業場から集塵機を使用し屋外に廃棄される空気中の石綿濃度(排気空気濃度:1FL

・・C) 石綿対策工事の効果を見るための基準になる養生内の空気中の石綿濃度、これは工事後に行なわれる(点検検査濃度:0.5FL

・・D) 通常の家庭環境下でのリスク基準値として浸透している室内空気に含まれる石綿濃度(室内空気濃度:0.5FL

 

さて今回も日本の方から質問を頂いた。

これはB):排気空気濃度:1FLに関してである。

簡単に考えるため、詳細にはふれない。

 

 

除去作業時の排気空気の石綿濃度は定められている。これは最大で1FLである(1)

HEPAフィルターの捕手率も凡そ決まっており、欧州H13HEPAフィルターは99.95%である(2) 

上記(1、2)より、HEPAフィルターから洩れる率が0.05%であり、これが許容されている1FLに対応する事になる。

なお99.95%はHEPAフィルターにて捕手されるが、その数字が1999FLである。(3)

よって養生内の石綿濃度は100%にあたる2000FLという事になる。(4)

つまり2000FLまでであれば排気濃度:1FL(以下)を守る事ができる。

f:id:decohana:20190411181434j:plain

 

しかし実際隔離養生した石綿除去現場内の石綿濃度は未知である。それこそ飛散しやすい石綿除去をおこなった場合2000FLを超える事もあるだろう。そのような場合でも1FLを守る必要がある。さてどうするのか?

 

前置きが長くなったがこれが今回の質問事項である。

 

質問:養生内の石綿浮遊が多い場合、排気空気濃度である1FLを守る為にどうするのか?

 

話によると吹きつけ材を湿潤無しに除去をすると4000FLくらいの繊維が浮遊するという。しかし通常は繊維の飛散を防ぐ為、湿潤してから除去作業を行なう。また室内すべてを湿潤できないのであればそれこそ塗れた雑巾や大きめのタオルを使用し、部分的に湿潤する事になる。

また作業自体もできるだけ飛散が少ないように行なわれる。ディスクグラインダーや床材研磨機は集じん機能付の物が使用され、粉塵は研磨と同時に吸引される。なお回収された粉塵は手をよごす事なく袋詰めされる。

また手作業で吹き付け材を削りとる場合なども直ぐ隣にバキュームをおき、削ると動じに回収する。

隔離養生内でも、できる限り繊維の飛散がないように作業が進められる。

 

しかしそれでも養生内の石綿濃度が高い可能性もある。そんな時は下記のような対策を行なう。

 

・・A)H14-HEPAフィルターを使用する。

H14-HEPAフィルターの捕手率は99.995%である。よって計算上最大20000FLの繊維が養生内に浮遊していても、19999FLは捕手される事になる。

f:id:decohana:20190411181509j:plain



・・B)養生内の汚染がさらに深刻な場合、集塵機のろ過システムを3層から4層にすることで対応する事もできる。この場合ファーストフィルター、セカンドフィルター、HEPAフィルター、HEPAフィルターという組み合わせになる。各くHEPAフィルターが99.95%で石綿繊維を捕手するので、結果養生内の石綿繊維濃度が40、000、000FLでも洩れるのは1FLである。

なお40、000、000FLとは計算上の数字である。

f:id:decohana:20190411181538j:plain

 

正しくに集塵機を回し、しっかり湿潤して、更にバキュームを常時使用しながら除去作業を行なえば飛散しやすい吹き付け材でも養生内の浮遊石綿濃度は高くても2FLくらいであるといわれている。

f:id:decohana:20190411181613j:plain

 

最終画像のみ引用:Köln aktuelle Stunde

天候不順のあとに

 

ここしばらく天候不順であったドイツ。

先週末に台風並みの暴風雨が吹き荒れた。大木が根こそぎ倒れたり、屋根の一部がはがれたりと数名の死者をだす、大きな被害をもたらした。

 

それからちょうど一週間。今日まで風の強い日が続き、雨の降らない日はなかった。しかし昨日あたりから、雨降りの合間に青空が覗く時間が増えた。今日はお昼頃からお日様が顔を出したので、この機会を逃してはならないと思い、急いで着替え、自転車ライドをしてきた。

      

 

流石に林道は折れかけた枝や幹が落下したり、倒れたりする危険がまだまだあるので、平地である川沿いのコースに愛車を走らせた。

 

 

      f:id:decohana:20190318071113j:plain

日がさせば、やはり春である。雨雲の留守であるこの時間を満喫するかのように、散歩をする人や自転車に乗る人がどこからともなく沸い出てきたようである。

 

     f:id:decohana:20190318070807j:plain



 

さて、川沿いのサイクリングコースを行ったのだが、なんとサイクリングコースがところどころ水没していた。先週から降り続いた雨で水かさが増加しているのである。

 

 

    f:id:decohana:20190318071033j:plain

 

川を挟み、両サイドは牧草地と麦畑なのだが、川から流れ込んだ水で湿原となっていた。折角、麦の穂が目を出したばかりなのに・・・。

 

  f:id:decohana:20190318071152j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

Fridays for Future

ここしばらく高校生が主体のFridays for Futureというデモ活動が毎週金曜に行われているが、その波は世界に幅広く広がっている。

 

f:id:decohana:20190317183541j:plain

 

ことの発端は昨年2018年にポーランドで開催された国連気候会議(COP24)で演説をした15歳の少女、グレタ・トゥーンベリ嬢である。彼女のスピーチに胸を打たれた人、彼女のスピーチによって改めて環境について考えるようになった人、こうような人は決して少なくはなかった事だと思う。

 

このグレタ嬢、昨年新学期に学校が始まったのにも関わらず気候変動による危機を訴えるべく、登校ストライキを決行したのである。彼女の活動はSNSやメディアを通じあっという間に広がり、ここドイツの学校の生徒の一部も金曜日に学校を休み、地球温暖化対策の強化を求めるデモを行なうようになったのである。

 

「学校をサボる」とみなし、批判の声もあり、ドイツの自由民主党(FDP)の党首クリスチャンリンドナー氏は「政治に関心がある学生・生徒には賛辞だが、まだまだ世の中の知見が未熟であれ。このような環境問題への取り組みは、我々のようなプロの政治家の仕事である。」(意訳)とコメントしている。

 

f:id:decohana:20190317183625j:plain

 

また一般市民の中にも「どうせ学校をサボりたいだけでしょ!」という辛口の意見から「デモは授業が終わった放課後にした方が良いねぇ」というマイルドな意見まで様々である。

 

また批判とは逆に生徒の活動を支援する声も大きい。

 

メルケル首相は生徒の環境意識の向上を賛辞するコメントをだしたと聞く。また学校もデモが行なわれる金曜日の午前中の授業を社会参加型授業やプロジェクト授業とし、生徒が自らプランをつくりプロジェクトとして教室以外で勉強することをサポートする教員達もいる。また生徒の環境活動を支援する両親も少なくはない。

 

先日12日、FDPの党首・リンドナー氏の「環境対策はプロの仕事」発言に反対するコメントが報道された。

 

それ先駆者が(確か?)ベルリンの大学で教壇をとるフォルカー・クルシィング教授である。彼のコメントの中で「我々研究者はこのテーマのプロである。そして声を出して言うのである、若者世代の言う事が正しいと・・・」

 

f:id:decohana:20190317183733j:plain



今ある社会が温暖化にストップをかけないと、その悪影響・弊害は受けるのは次の世代、またその先の世代である。よって現存する環境問題は彼ら若者の問題である。しかしその原因をつくったのは自分たち祖父母、両親、そして今の世代なのである。

 

環境の変化が進むと人間の生活様式変化するであろう。「人類絶滅」というシナリオは無いとしても、現状を見る限り、地球全体として環境変化は悪い方へ向っているようである。自分の子供、孫が多様性が失われ、選択肢が限られた生活環で生きていく事を今の大人は誰も望まないでろう。

 

クルシィング教授はさらに「12000もの研究者が若者のFridays for Futureを支援する」とステートメントを発表。現役研究者が主体となり若者の環境活動を支援する意味で現在署名活動が行なわれている(Scientist for Future、略してS4F)。なお3月16日現在までの署名した研究者のその数は23000名である。元研究者として自分も後ほど署名するつもりだ。下記、英語のリンクを張っておく。

https://www.scientists4future.org/statement-en/

 

そんな事もあり、特別に環境活動家でもなんでもない自分なのだが、3月15日は元研究仲間の数人とデモに参加してきた。

 

雨の中、朝9時から広場に300人ほどががあつまって。10時を過ぎる頃からから数が増え、また雨も小降りになった事から市内デモ行進をおこなう頃には参加者がさらに増加。総勢3000人から5000人規模のデモに成長した。

 

f:id:decohana:20190317183715j:plain

 

3月15日は世界120カ国でFridays for Futureデモが行なわれたと聞く。欧州をはじめ遠くケニヤやインド、アメリカまでその波は広まった。ドイツ国内だけでも総計30万人以上が未来の為に行進をした。

 

なおドイツ政府は環境政策を迅速に進めていくための「環境キャビネット」という名称で各大臣からなるワーキンググループを発足し、環境対策の向上に努めていくという。