ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ドイツ・環境・「アウトドア・ブランド」

Septemberに入り秋の兆しも見え始めたドイツ。秋の快晴の澄みわたるような空が青く、ハイキングやサイクリングなどのアウトドアなアクティビティーにはちょうど良い季節である。

今日はアウトドアに関連して、身近なアウトドアブランドを紹介する、といってもの自分も持ち物に関しのみだけど。

 

 

Jack Wolfskinジャックウルフスキン

オオカミの足跡がマークのジャックウルフスキン

ここドイツで一番メジャーなのではないだろうか?

雨が降っても傘をささないドイツ人。雨のふりそうな日や寒い日には子供から大人までここのマウンテンパーカーを着ている。品揃えは多く、靴や衣料品からアウトドア用品やテントまで、何でもあるといった感じである。質が良い分、多少値段もするが、それでもT-シャツ1枚3千円位などからあるので、手の出せない値段ではない。

自分も緑のマウンテンパーカーやリュックサックなど、愛用している物も多い。創立は1981年。最初のショップがオープンしたのは1993年。ちなみに自分が初めてここのリュックサックを通学用に買ったのは確か1997年。PCの持ち運びに、頑丈で且つ、四角い形で、またカバンとしても持ち運びできるように、持ち手とストラップが付いたものを購入。当時80マルクだった。下記、現在愛用している物の一部を紹介。なお写真は自分の所有と商品カタログから、ただ同じ製品なので出典を省略。 

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VAUDE (ファウデ)

動物のロゴではないのが可愛くないがサイクリング・自転車ファッションが充実している。自分もここのやサイクリングウェアやショーツ、パットの入ったインナーパンツを愛用。なお自転車ファッションの利点は乾きが早い事。また中・長距離を走るとサドルに乗る部分が痛くなってくるのでパットの入りインナーパンツは快適である。ウェアに関しては半そでで約45ユーロ(約5千円)くらいからある。ただ自分はこだわりが殆どないので、バーゲン品で十分、用が足りている。自転車ファッション以外には靴や衣料品もあり、またテントや寝袋、リュックなどデイ・キャンプだけではなく、本格的登山に利用できるものまでバリエーションは広い。

お値段の相場は私のサイクリングショーツで90ユーロ(1万円)と60ユーロ(6千800円)。

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Elkline (エルクライン)

創立1999年。まだ新しい会社であるが、確実に業績を伸ばしている。ヘラジカ君のロゴがドイツらしくない可愛いさを出している。主な製品は衣料品。子供用にはロゴのヘラジカがプリントされているT-シャツや遠足用リュックなど大分前からあったのだが、ここ最近大人向けのヘラジカプリントのT-シャツやカバンなども出てきている。

先ほどオンライン・ショップを拝見したら新作のカバンが掲載されていた。「ほっほしい!」ここのT-シャツの隠されてたお洒落はT-シャツの背中の部分にはヘラジカ君の後ろ姿がプリントされて事である。あと襟元にもヘラジカ君が。カラーバリエーションやヘラジカ君のバリエーションもある

なおこちらのT-シャツは31ユーロだったかな?甥っ子には遠足用にリュックをプレゼント。

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Mammut (マームット)

創立は1862と言うスイスの歴史のある会社。日本でも店舗がいくつかある。元は農業などに使うロープの生産をおこなっていたとか。それが原点となり、後に山登り用のロープへ発展し、その後、登山用品、寝袋、ウェアなど総合的な商品展開を発展している。トレードマークのマンモスのロゴは1943年からあると読んだ記憶がある。自分はこの会社のシュラフをキャンピングに行く際などに使っているが軽くて暖かい。なお寝袋の足先には大きくトレードマークのマンモスが付いている。ここのT-シャツも好きなのだが、ロゴが大きくプリントされている物はメンズT-シャツのみ、私的には別に問題はないのだが。なおメンズT-シャツ1枚約40ユーロ。上記のヘラジカ君より1000円くらい高い。たかが千円、されど千円。ケチな自分はもっぱらバーゲン時ねらい。

 

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Fjällräven (フェールラーベン)

スウェーデンの会社。丸くなった北極キツネのロゴマーク。ちなみに英語のホームページでも、ちゃんとAに点々(Ä)を付けて記載されてる。なお日本のショップはA

の上の点々を付けていないところも多い。点々が有ると無いととでは違う文字ですよ。「め」の代わりに似てるから「ぬ」を書くいった感じだと、スウェーデン人の友達は言っていた。

日本での一時期はやって「カンケンバック」(ちなみに正しくはKånken書きます。aに○が付いてます)はカラーバリエーションが多いのと、小型で手軽なのが人気。バック以外だとドイツではジャケットやマウンテンパーカーが主流。あと流石北欧!といった感じのセーターなんかもある。更に変わったとこでは狩猟用のナイフケースや鉄砲ケースなどもある。でも個人的にはキツネのロゴで大きくプリントされているT-シャツが好きだ。

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しかしこの会社のマークにもなった北極キツネだが、天然記念物とし保護がされているにも関わらず生息数は激減。更に近年、温暖化の影響で彼らの生活環境の変化、またキタキツネなども彼らの生活圏に増え、餌の取り合いなども激化していると聞く。

同社は1990年より北極キツネ保護プロジェクトにも大学・研究機関と共同で参加。絶滅の危機から北極キツネを守るため保護に力を入れていると聞く。

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ドイツ・環境・「エネルギー証明書」

エネルギー証明書の話

 

現在住んでいる賃貸のフラットが冬場異常に寒い。暖房はつけているのだが、断熱性が悪く、室内は通常18度くらい。なかなか20度以上に温度が上がらない。早朝は室内の窓に露がびっしり。ガラスワイパーで拭くものの、すでに露では無く、水流として窓を流れ落ちるので、窓下にバスタオルを轢いて、水流をキャッチ。

窓ガラスは2重だが、建物のつくり自体が安いらしく、故に断熱効果が悪い。なので毎年、春先から秋にかけ、引越し先を探しているのだが、住居不足と家賃の急上昇が社会問題化している現在、なかなか思った物件が見つからず、既に7年間、同じフラットで生活している。

 

そんな状態なのだが最近、払えそうな家賃の一軒家の物件があったので、見学に行って来た。家自体は二階立て、さらに地下室があり楽器の練習も出来そうな感じ。庭は家庭菜園や植物を愛でるのには十分な広さで、また大きな物置小屋もあり、なかなか興味が引かれる物件だった。

 

だがその物件のエネルギー証明書を見た瞬間、「この物件はやめるべきだ」と言う結論に達してしまった。なんとエネルギーの消費クラスがHなのである。正しくH-クラスの物件だあった。

 

 

ここドイツにはエネルギーの節約に関する法律がある。簡単に言えば「省エネ法」である。

2014年に強化され、住居の賃貸や売買時にその建築物のエネルギー効果を示さなければならない。抜き打ちで検査があり、このエネルギー証明書がない場合は、罰金になると聞く。

 

下記エネルギー証明書の概要を掲載。A+が一番エネルギー消費量が少なく、Hがエネルギー消費量が一番高い。ちなみにこのエネルギー消費は暖房に要するコストで、1㎡当たりのエネルギー量の年間値である(kWh/)。

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断熱効果が高めてある近代新築一戸建てでは大体BからCレベル、年間エネルギー量は75kWh/㎡ほど。また平均的な住居では150kWh/㎡の消費量になる。加えてパッシブハウスと言う(超)省エネ住居では年間エネルギー量は15kWh/㎡以下だと聞く。

 

 

エネルギー消費量の違いはずばり家計に響く。下記の表をみてもらえば分かるが、平均的な住居のエネルギークラスはEである。現在住んでいるフラットを例にすると、広さが約80m224.2坪)である。計算上の年間のエネルギー消費量は960ユーロ(約11万円)になる。これがエネルギークラスHになると少なくとも1600ユーロ(約16万5千円)。差額約5万5千円。毎月約4600円出費が多くなる。

 

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ちなみに自分が先週見学に行った物件はエネルギークラスH、総面積は130m2の一軒家。ざっと計算してみると暖房費だけで年間2600ユーロ(約30万円)も掛かる事になる。

 

通常物件の広告には基本の家賃と、水道代や光熱費、諸雑費を含んだ総額家賃が掲載される。暖房代は込みの場合も、また別途の場合もある。今回の物件は別途であった。住居が広くなれば、家賃も高くなる。それに加えて断熱性が悪く、暖房費が必要以上に高くなる。高くならないのは自分の月給だけである。そんな事を思い、今回はこの物件を諦めた。

 

ドイツ・環境・「火災とアスベスト」

Brand (ブラント・火事)火災による、アスベストの飛散。

 

2016年8月

木製インテリア・木材商品の専門店、「ヴィケルト」が火事に見舞われて。総面積12000mの大型展示売り場が全焼した。被害総額はおよそ数百万ユーロだと聞く(数億円)。消化活動は200名の消防隊員により2日かかりでおこなわれた。

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この火災で深刻な被害を受けたのは当事者だけではない。

火災現場から200m以内は立ち入り禁止となった。幸いな事に民家は無いと聞くが、火災現場200m以内にある約20社、計300人の従業員は火災後、事業を行なえない状態にあった。

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その理由は、火災現場より飛散したアスベストが原因である。汚染元は展示売り場の屋根にあったアスベスト混入の防火建築材や波型のスレート板である。アスベストの総面積3150m(高校の体育館800mの約4倍)

 

地元では、火災の発生後、アスベスト繊維の飛散を懸念する声があがり、専門家や消防関連、町の行政が緊急会議を行い、火災現場の立ち入りを規制し、また同時にアスベスト対策とし、消化後も水をまき、繊維が飛ばないよいにするとともに、HEPAフィルターを内蔵する掃除機で有害なアスベストの繊維の除去を行なった。なおこの作業に2週間かかる見通しだと聞く。

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2015年8月

日本人の多く住むデュッセルドルフ。その郊外にある街クレーフェルトはライン川沿いにある、工業の街である。そのケミカル・パークで化学物質による爆発事故が起こったのはちょうど一年前の8月。

消防隊員140人が出動した大規模な爆発事故である。この爆発で20人が負傷したものの、死亡者は出ずにすんだ。しかしこの爆発事故でもアスベスト繊維が飛散してしまったと聞く。幸いな事に爆発事故の起こった建物内に多くのアスベスト繊維が留まり、建物内部、及び周辺では石綿濃度は高かったものの、周辺住宅地での石綿濃度は健康被害げでる程では無いと言う事だった。

私的には「運が良かった」と言うしかない

 

 

2015年2月

ライン川とルール川の合流地点に位置する工業都市デュイスブルクで火災が起こった。この火事で大型倉庫が全焼、その際にアスベスト繊維が飛散した。汚染元を中心に半径500m以内の領域は立ち入り規制となった。なおこの規制区内には340件のアパートや住宅、また60件のオフィスや店舗があり、建築物の壁、屋根、ベランダ、また規制地域内の車、道は歩道など放水車や放水ポンプ仕様しアスベスト繊維を除染した。また必要におおじ、特別なHEPAフィルターを搭載した産業用大型掃除機にてアスベスト繊維の除去にあたった。この作業にはアスベスト除去作業員50名、さらに消防隊員が加わり、大掛かりな作業となった。なおアスベストの除去作業に掛かった費用、約百万ユーロ(1億6000万円)。この費用は、出火元の倉庫側の保険によってまかなわれると聞く。

 

 

2014年12月

クリスマスのショッピング客で賑わうドイツ・オランダ国境近郊にあるレイモンドと言う街のアウトレットモールで火災が生じたのはクリスマスのショッピング客で賑わう時期であった。その火事でアウトレットモールにある大型ヨット専門店が全焼、100隻以上のヨット台無しになった。。被害総額はおよそ数百万ユーロ。ここで問題になったには火事で飛散したアスベスト繊維である。何でも屋根にはアスベストを含んだ波型のスレートが使用されていたそうだ。火災の消化後、しばらく間学校などは休校となり、また市民も防塵マスクの使用し生活をしたと聞く。また汚染元から4.5kmないでアスベスト繊維の除去作業が行なわれた。

 

 

これがごく最近の火災によるアスベスト飛散で事故である。日本では災害時のアスベスト対策近年重要な課題になっていると聞く。火災時、正しくは火災が起こる前に、アスベスト対策をするのが一番良い事なのだろうが、除去費用と法律の甘さでなかなか進まないのが本当のところである。

 

ドイツ・環境・「マイクロプラスチック」

Microplastic マイクロプラスチック

 

小さなミクロのプラスチック破片が魚の稚魚の成長を脅かしている。この様な環境で育つ魚の稚魚は遊泳に関しても些か活発ではなく、また自然界の天敵の出す、化学物質への反応も鈍い。

このような事が他の種の魚の稚魚でも起こりうるなら、ミクロサイズのプラスチックによる生態系への悪影響は当然危惧されるべきであると言うコメントが雑誌サイエンスに掲載されていた。

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世界的に見て、毎年300万トンのプラスチックが生産されている。その多くが自然界に流出し、最終的に河川・湖・海洋環境に流出する。プラスチックの問題点の一つは、分解されにまでに時間が掛かる事である。波による侵食、紫外線による光化学反応でプラスチックは壊れ、砕け、削れ、更に細かい粒子になり環境に累積する。

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マイクロプラスチックとは通常5mm以下のプラスチックを言う。小さいものでは化粧品や歯磨き粉に含まれる粒子、また工業用・産業用研磨材などに利用されるものなど様々マイクロプラスチックがある。ポリ塩化ビニル、ポリスチレン・ポリウレタン、難燃剤、柔軟剤などが主なマイクロプラスチックである。

専門家は数年前より環境への影響を懸念しているが、個々の動物種への影響、環境全体への影響など調査が始まり、日が浅く、まだ大規模なデーターがそろっていない。

 

スウェーデン、ウップサラ大学の研究グループは大変興味深い論文を発表していた。3つ水槽で、魚の稚魚をふ化させ、飼育した。その際に個々の水槽は以下の条件になっている。

・水槽1・コントロール(マイクロプラスチックは無)

・水槽2・発泡スチロールの破片 1万個/1m3

・水槽3・発泡スチロールの破片 8万個/1m3(これはスウェーデンや他の国の沿岸近辺で確認されてマイクロプラスチックの濃度と等しい)

 

さてまずは卵からのふ化率だが水槽1(マイクロプラスチック・無)は96%。逆に水槽3(マイクロプラスチック・8万個/1m3 )は81%と言う結果がでている。

またふ化10日の稚魚では、個体の運動能力に違いが見られ、マイクロプラスチック入りの水槽の稚魚は泳ぎが鈍く、また移動距離の短さが顕著であると言う。

 

また自然界の天敵が出す「ニオイ」を水槽に入れてみたところ、マイクロプラスチック入りの水槽の稚魚では反応も鈍く、実際に天敵種である大型の肉食魚を水槽に入れてところ、24時間以内にすべての稚魚が捕食されてしまった。なお同実験で水槽1の生存率は46%だった。

 

驚くべき事に、マイクロプラスチック入りの水槽の稚魚では餌の好みが通常の稚魚と異なり、マイクロプラスチックを通常の餌より好んで食べるようになった。動作も鈍く、通常の餌よりも身近にあるマイクロプラスを食す様子は、ファーストフードを好んで食し、体を動かさないカウチポテト族の様だと研究者は言う。なおその為、体長も通常の稚魚に比べて小さかったという。

 

近年、北海ではヘヒト(英語はパイク)とバーシュ(英語パーチ)が減っている。また逆にマイクロプラスチックは増えている。と言う研究結果もあり、どうも実験室内での様な事が自然界でも起きているのではないかと懸念されている。また今後様々な生物種における世代を超えてのマイクロプラスチック影響、また生態系や多様性への影響なども調査をすすめていく必要がある。

 

なおこの研究結果につき「今後マイクロプラスチックによる環境汚染・環境負担を理解するべきよき手がかりになるのではないか」と他の研究者も期待する。

 

2014年にドナウ川でのマイクロプラスチックの調査結果がある。これによると稚魚よりマイクロプラスチックの方が多い調査箇所が点在した。オーストリア・ウィーン大学の研究グループによると、1000m3につき稚魚・推定275匹のに対しマイクロプラスチック・317個のが存在すると言う。

 

これらのマイクロプラスチックはすべてプラスチック製品に由来する。直接排水から河川へ流れ出るもの、ゴミ集積場から河川や海に流れ込むもの、また人が投げ捨てたプラスチック製品が砕け、削られ細かくなったものなど汚染元は様々だ。

これらは様々な水性生物の体内で蓄積される。ゴカイ・ウミウシ・貝類、又これらのプランクトン状の幼生など、魚の稚魚だけではない。また食物連鎖ではそのつど、蓄積が増えてくる。例えばある種の魚は自分で直接食したマイクロプラスチック、また餌になる生物が食したマイクロプラスチックの両方を体内に蓄積する事になる。またこれらのマイクロプラスチックは食物連鎖の流れにのり、最終的には我々の生活圏に戻ってくる。

 

ちなみにマイクロプラスチックの細片化が進みナノレベルの粒子になった場合、動植物の細胞内への侵入も考えられる。どの様な悪影響があるか懸念される。

 

1950年代にはまだ年間100万トンのプラスチック生産だったが現在はその100倍である。

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ヘヒト: カワカマスと言う別名がある。アリゲーターのような巨大な口と鋭い歯、及びカマスの様な長い体が特徴。ほぼ何でも食べる肉食魚。なお日本だと生態系に被害を及ぼす特定外来生物。私的に言えばどんどん釣り上げてから揚げにしてしまえば良いと思う。

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バーシュ: ヨーロッパではポピュラーな魚でスズキの仲間。特にドイツでは食用漁獲対象魚。写真だとブラックバスを小さくした様な感じ。なおこれも特定外来生物。

 

 

 

 

ドイツ・環境・「家賃20%Off」

 

ここ数ヶ月、「引越しをしたいなぁ」思いつつ、いくつか物件を見学しているのだが、地下室の仕切り板にそのまま石綿スレート板が使われている物件に遭遇した。

日本では賃貸契約書に石綿調査を行なったか、いなかを記入する欄があると聞くが、ここ、ドイツでは質問しない人の負けである事が多い。つまり借り手は不動産屋なり大家なりに「アスベスト使用してる?」と質問しない限り、貸し手側は不利な情報を提供しない。

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さてこの質問に対し貸し手側「はい・いいえ・わかりません」と言う3つの選択肢から回答をする事になる。「無知は罪にならない」と言う考えがある社会なので貸し手は「わかりません」と答える事が出来、また石綿使用の見解が無くても、調査の義務が生じなし。

故になかなか石綿レジスター、つまり石綿使用建築物の登録システムが普及しない。

 

さて今日はドイツの首都、ベルリンでのアスベスト裁判の判決の紹介。

 

昨年の暮れ某一家は小さな子供をつれ、交通の良い便も良いベルリン市内へ引っ越した。引越しの片付けも済み、5ヶ月が過ぎた。新しい環境に慣れ、生活もやっと落ち着いた矢先に、賃貸住居の床材にアスベストが使用されている事が発覚。即時に賃貸契約を破棄し、それから1ヶ月後に速やかに退去した。

 

通常、賃貸契約の解約については、書面での解約依頼から3ヶ月と言う決まりがある。つまり、今日、住居を退去しても、3ヶ月間、家賃支払い等の義務が生じる。

また引越しをするにあたり、お金も時間もかかる。

まして新しく越してきたばかりなのに、直ちに次の住居を探し、引越しを余技なくされたのでは、心情穏やかでは無い。更に小さな子供がいるのも係わらず、発ガン性の高いアスベスト建材使用の住居は考えものである。

 

今回、問題となったはのはビニール製の床タイルである。このビニール製の床タイルは非飛散性アスベスト建材と言う事で削ったりしなければ、アスベスト繊維が空中に舞う事がないとされる。この一家が新しく入居した際に、既に傷や損傷した床タイルがあったと聞く。これを借り手側である一家が交換を仕様とした際にアスベストの使用が露見したんである。

そのような背景があり、一家は住居の大家を相手取り損害賠償を求め民事裁判を起したのである。

 

地方裁判所での第一審では一家の入居日より退去日までの家賃の20%の引き下げ、またアスベストが発覚する日までの不安要素に対する損害賠償とし、更に5%のの引き下げを命じた。

しかし第二審ではの判決では家賃の20%の引き下げ呑み認められてた。

理由としては損傷のある床タイルは9枚だけだったので、それに見合う額として20%が妥当と言う事であった。しかし通常、アスベストに因る健康被害を訴える際には、石綿飛散を証明すべく、空気中の石綿濃度の測定を行なわなければならない。もちろん費用はそれなりに掛かる。しかし二審の判決では「破損のある石綿含有建材は健康被害の可能性が十分に認められる」と言う事で濃度測定は不要だという結果にあった。

 

この裁判の重要な点は、アスベスト建材が利用されているマンションやアパート、テナントビルなどを貸している所有者や大家などが今後同じ様な理由で民事訴訟で起訴されるかもしれないと言う事である。

 

今回の場合、この貸主の損失は一家が滞在した5ヶ月間の家賃の20%だけで済んだのだが、もし住居者は退去までの3年間の健康被害を訴えた場合、または同じマンショウの他の住居者も似たような理由で同時に訴訟を起した場合、大家側の支払い費用は多くなるだろう。また加えて裁判の費用の負担なども掛かってくる。

実際に石綿関連で総額約500万円の家賃割引をする事になった事例もある。

 

現在、大家やビルのオーナーなどに石綿調査の義務はない。石綿の有無を知らずにいた為に、上記の様に、後になり借り手とトラブルになり、思いがけない費用が掛かってくる場合が増えてきていると聞く。事前にアスベストの「有無」を知っているのであれば、住居者に賃貸契約時に情報を与え、判断を任せる事ができる。

ベルリン市で現在推定8万戸の住居でビニールタイルなどの石綿建材が使われていると言う。住居やビルを貸す側は、自衛の意味を含め、石綿調査をする事を考えるべきだろう。なお調査費用は一検体大よそ約5千円位からだそうだ。

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タイルの下にアスベストがある

 

 

 

ドイツ・環境・「アシナシトカゲの話」

Blindschleich(ブリントシユライヘ)アシナシトカゲ

決して目が見えないわけでは無いが、なぜか目無し(Blind)だと言われている、この生物は実はトカゲである。足が無いのが特徴である。

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昔し高校の漢文の教科書に「蛇固無足。子安能為之足」と言った「蛇足」なる詩があった。もともと足の無い蛇に余計な足を描き加えた為、これでは蛇にあらずっと言う説話である。

話の内容は、何かの競争があり、早く綺麗に蛇を描く事で勝ち負けを競った。参加者で一番先に蛇を描いた人は、時間が余った為(また自分の画才を自慢する為?)蛇に足を描く加えたのである。結果、「これは蛇では無い」っと言う事になり、勝負に負けてしまった。

それより後、「蛇足」とは意味の無い余計な物を有らす言葉になった。

確かこんな感じの説話であった。子供心に「なるほどなぁ」と感心してしまった事を覚えている。

 

ではもともと足のあったトカゲが足をなくした場合はどうなるのか?やはり単純に足りないから「不足」なのだろうが、蛇足に習い、何か良き説話があれば大変興味深い。

 

さてこのアシナシトカゲだが、中央ヨーロッパでは多く見られる爬虫類で、ここ南ドイツでも暖かい(暑い?)夏の朝晩にアスファルトの道の上で休んでいる姿を見かける。

変温動物、つまり体温が外の環境温度に依存するため、とりわけ朝方などは夜の低い気温の為、体温も低く、活発な活動が出来ないのである。それを日光浴する事で体温を上昇さ、活動を開始する。私自身も冷え症なのか常時体温が低い。今後トカゲを見習い日光浴の習慣と取り入れたいと勝手に思っている。

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写真では蛇の様に見えるが蛇ではない。以下簡単に蛇との違いを挙げると、

1・・尾っぽが簡単にちぎれる。

2・・を感じる事が出来る。

3・・まぶたがあり、瞬きをする(結構カワイイ)。

4・・なお骨格には骨の残りが確認出切る。

 

「でも何故足が無いのか?」と考える事もある。好奇心の塊であるちびっ子達から質問される事も多々ある。

下記、思いあたる理由を簡単に書いてみる。

1・・自然界に「蛇は毒があって危険」と言う概念があり、たまたま足の無いトカゲが天敵から蛇と間違われ、生き残り、子孫を残し、それが増えてた。

 

と言う仮説も可能だが、

 

2・・広葉樹が多い南ヨーロッパの森では、落ち葉が地面にたまる。その落ち葉の中を進むには足で体重を支えて歩くより、体全体で体重を支え、蛇のようにクネクネと這って進む方が都合が良い。

 

のかもしれないし、また

 

3・・天敵に遭遇したときには狭い隙間にも容易に滑る込む事ができる。

 

そして特殊化した事で

 

4・・他のトカゲの種と生活層めぐって競争する事が少なくなり、故に悠々自適な生活ができる。

そのような様々な要因と偶然が重なり結果とし足が退化したのであろう。

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話には聞いていたが、やはり初めて遭遇したときには「なんだこいつは?」と言うのが率直な感想である。爬虫類が苦手な人でも一見する価値があると自分は思う。そして、その奇妙な姿を目にし、進化について思いを馳せる、そんな夏の午後がたまに有っても良いだろう。

 

 

下記辞典によるデーター

  • 長さ 35から55cm
  • 重さ 500から1500g
  • 食性 昆虫一般、芋虫、ミミズ、ナメクジ・カタツムリなど
  • 寿命 10から50年
  • 繁殖 5月から6月。なお卵胎生(卵がメスの体内で育って、孵化する)なので10cmくらいの小さなトカゲとし産まれてくる。

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ドイツ・環境・「アフリカのゾウの引越しの話」

Aflikaアフリカ東部に位置する小さな国、マラウイ共和国。国立公園、森林保護区、動物保護区が周辺にあり、自然を満喫できる。また国土の3分の1をが占めマラウイ湖は北海道と九州を合わせたぐらいの大きさだと聞く。

 

今回はヨーロッパの話では無いのだがゾウの引越しの話を紹介。

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マラウィ政府はアフリカゾウの密猟防止キャンペーンの一環として、押収した密猟象牙など6・6トンの焼却をしたっと言う話を聞いたのは昨年の事である。その価値数百万ドルだと言われている。

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現在アフリカゾウは絶滅のおそれがある種に分類されている。ワシントン条約の締結により象牙の取引が禁止になったのは確か80年代の終わりだったと記憶している。しかし90年代の後期になり、一部の国でゾウの生息数が増えすぎたという理由で象牙の取引が再開されると、それに伴い需要、すなわち買い手も急増。結果再び密猟が盛んになったっと聞く。

 

20世紀はじめ、生息していたゾウの数は300万から500万頭だといわれる。調査がなされるようになってから、アフリカ大陸全体としの生息数は減り続け現在は50%まで生息数が減ってしまった。WWFの調査によれば2010年から2012年末までに密猟により命を落としたゾウの数10万頭。現在のゾウの生息数は47万頭だと言われる。

 

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マラウイ共和国にはマラウイ湖につなぐ大きな川が数本流れており、本来ゾウの生息地であった。その数1500頭、しかしその姿が消えはじめ、近年100頭まで減ってしまった。背景には象牙の密猟がある。また近年の人口増加、あるいは干ばつなどによる食料不足によって人間とゾウとの衝突も増え、殺されるゾウも後をたたない。また狭い地域に生息するゾウの数が増えすぎてしまいゾウ自身による環境破壊の問題も多発している。

 

その様な背景があり、ゾウの「引越し」が決まった。近年マラウイ共和国では積極的にゾウの引越しを行なっており、効果を収めている。しかし今回は500頭と言う数を数ヶ月間掛けてコタコタ野生動物保護区(面積約1750km2、香川県よりちょっと小さくいくらい」に移動させるという、大規模プロジェクトになる。なおこの大規模プロジェクトはAfrican Parks (NPO)及び政府機関によって進捗されている。

なおその背景には野生動物を重要な観光資源とし捉えている部分もあるが、私個人の意見としては、「それでも良い」と思う。

 

実際の捕獲方法なのだがレンジャーがヘリコプターからダート銃で鎮静剤をゾウに打つ。その際、ゾウの家族・群れがバラバラにならないよう、一回の作業でゾウの家族・群れを全て捕獲しないといけないらしい。麻酔後、一頭づつ体に番号をスプレーで書いていく。この作業には現地の子供達も参加している。その後クレーン車で一頭づつ大型トラックの荷台に乗せて固定してく。

移動距離300キロ。ゾウ達はコタコタ野生動物保護区とへと運ばれていく。なお麻酔の効果時間は最長で24時間。それまでにすべての作業を終へ、引越し先の柵内までゾウ達を運び込まなければならない。なお到着後、ゾウ達は引越し先の環境になれるまでの数日間は柵内に留まる事になるが、その後柵から放たれる。

 

さてこの引越し費用だが大よそ約160万ドル、日本円で1億6000万弱だと聞く。加えて囲い柵や、パトロール、また法律との調整の為に更なる費用が掛かる。政府資金だけではなく慈善財団からの援助金。また面白い事にオランダ郵便局の発行している宝くじの収益金の一部も寄与されていると聞く。

 

なお余談なのだがこのプロジェクトに英国のハリー王子も一役買っているとの事。一時期そのやんちゃぶりを発揮し世間を騒がす事も多々あったのだが、最近は大分「大人」になったとか。昨年よりサイやゾウなど絶滅が危ぐされている野生動物の保護プロジェクトの為にアフリカをたびたび訪れている。今回もその一貫で何らかの形でプロジェクトに貢献すべく、現地を訪問していると聞く。