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ドイツ・環境・自然

環境の国って言われるドイツだけど、色々とジレンマがあるみたい。環境・自然を中心に日常の事書いています。

ドイツ・環境・「マイクロプラスチック」

Microplastic マイクロプラスチック

 

小さなミクロのプラスチック破片が魚の稚魚の成長を脅かしている。この様な環境で育つ魚の稚魚は遊泳に関しても些か活発ではなく、また自然界の天敵の出す、化学物質への反応も鈍い。

このような事が他の種の魚の稚魚でも起こりうるなら、ミクロサイズのプラスチックによる生態系への悪影響は当然危惧されるべきであると言うコメントが雑誌サイエンスに掲載されていた。

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世界的に見て、毎年300万トンのプラスチックが生産されている。その多くが自然界に流出し、最終的に河川・湖・海洋環境に流出する。プラスチックの問題点の一つは、分解されにまでに時間が掛かる事である。波による侵食、紫外線による光化学反応でプラスチックは壊れ、砕け、削れ、更に細かい粒子になり環境に累積する。

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マイクロプラスチックとは通常5mm以下のプラスチックを言う。小さいものでは化粧品や歯磨き粉に含まれる粒子、また工業用・産業用研磨材などに利用されるものなど様々マイクロプラスチックがある。ポリ塩化ビニル、ポリスチレン・ポリウレタン、難燃剤、柔軟剤などが主なマイクロプラスチックである。

専門家は数年前より環境への影響を懸念しているが、個々の動物種への影響、環境全体への影響など調査が始まり、日が浅く、まだ大規模なデーターがそろっていない。

 

スウェーデン、ウップサラ大学の研究グループは大変興味深い論文を発表していた。3つ水槽で、魚の稚魚をふ化させ、飼育した。その際に個々の水槽は以下の条件になっている。

・水槽1・コントロール(マイクロプラスチックは無)

・水槽2・発泡スチロールの破片 1万個/1m3

・水槽3・発泡スチロールの破片 8万個/1m3(これはスウェーデンや他の国の沿岸近辺で確認されてマイクロプラスチックの濃度と等しい)

 

さてまずは卵からのふ化率だが水槽1(マイクロプラスチック・無)は96%。逆に水槽3(マイクロプラスチック・8万個/1m3 )は81%と言う結果がでている。

またふ化10日の稚魚では、個体の運動能力に違いが見られ、マイクロプラスチック入りの水槽の稚魚は泳ぎが鈍く、また移動距離の短さが顕著であると言う。

 

また自然界の天敵が出す「ニオイ」を水槽に入れてみたところ、マイクロプラスチック入りの水槽の稚魚では反応も鈍く、実際に天敵種である大型の肉食魚を水槽に入れてところ、24時間以内にすべての稚魚が捕食されてしまった。なお同実験で水槽1の生存率は46%だった。

 

驚くべき事に、マイクロプラスチック入りの水槽の稚魚では餌の好みが通常の稚魚と異なり、マイクロプラスチックを通常の餌より好んで食べるようになった。動作も鈍く、通常の餌よりも身近にあるマイクロプラスを食す様子は、ファーストフードを好んで食し、体を動かさないカウチポテト族の様だと研究者は言う。なおその為、体長も通常の稚魚に比べて小さかったという。

 

近年、北海ではヘヒト(英語はパイク)とバーシュ(英語パーチ)が減っている。また逆にマイクロプラスチックは増えている。と言う研究結果もあり、どうも実験室内での様な事が自然界でも起きているのではないかと懸念されている。また今後様々な生物種における世代を超えてのマイクロプラスチック影響、また生態系や多様性への影響なども調査をすすめていく必要がある。

 

なおこの研究結果につき「今後マイクロプラスチックによる環境汚染・環境負担を理解するべきよき手がかりになるのではないか」と他の研究者も期待する。

 

2014年にドナウ川でのマイクロプラスチックの調査結果がある。これによると稚魚よりマイクロプラスチックの方が多い調査箇所が点在した。オーストリア・ウィーン大学の研究グループによると、1000m3につき稚魚・推定275匹のに対しマイクロプラスチック・317個のが存在すると言う。

 

これらのマイクロプラスチックはすべてプラスチック製品に由来する。直接排水から河川へ流れ出るもの、ゴミ集積場から河川や海に流れ込むもの、また人が投げ捨てたプラスチック製品が砕け、削られ細かくなったものなど汚染元は様々だ。

これらは様々な水性生物の体内で蓄積される。ゴカイ・ウミウシ・貝類、又これらのプランクトン状の幼生など、魚の稚魚だけではない。また食物連鎖ではそのつど、蓄積が増えてくる。例えばある種の魚は自分で直接食したマイクロプラスチック、また餌になる生物が食したマイクロプラスチックの両方を体内に蓄積する事になる。またこれらのマイクロプラスチックは食物連鎖の流れにのり、最終的には我々の生活圏に戻ってくる。

 

ちなみにマイクロプラスチックの細片化が進みナノレベルの粒子になった場合、動植物の細胞内への侵入も考えられる。どの様な悪影響があるか懸念される。

 

1950年代にはまだ年間100万トンのプラスチック生産だったが現在はその100倍である。

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ヘヒト: カワカマスと言う別名がある。アリゲーターのような巨大な口と鋭い歯、及びカマスの様な長い体が特徴。ほぼ何でも食べる肉食魚。なお日本だと生態系に被害を及ぼす特定外来生物。私的に言えばどんどん釣り上げてから揚げにしてしまえば良いと思う。

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バーシュ: ヨーロッパではポピュラーな魚でスズキの仲間。特にドイツでは食用漁獲対象魚。写真だとブラックバスを小さくした様な感じ。なおこれも特定外来生物。

 

 

 

 

ドイツ・環境・「家賃20%Off」

 

ここ数ヶ月、「引越しをしたいなぁ」思いつつ、いくつか物件を見学しているのだが、地下室の仕切り板にそのまま石綿スレート板が使われている物件に遭遇した。

日本では賃貸契約書に石綿調査を行なったか、いなかを記入する欄があると聞くが、ここ、ドイツでは質問しない人の負けである事が多い。つまり借り手は不動産屋なり大家なりに「アスベスト使用してる?」と質問しない限り、貸し手側は不利な情報を提供しない。

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さてこの質問に対し貸し手側「はい・いいえ・わかりません」と言う3つの選択肢から回答をする事になる。「無知は罪にならない」と言う考えがある社会なので貸し手は「わかりません」と答える事が出来、また石綿使用の見解が無くても、調査の義務が生じなし。

故になかなか石綿レジスター、つまり石綿使用建築物の登録システムが普及しない。

 

さて今日はドイツの首都、ベルリンでのアスベスト裁判の判決の紹介。

 

昨年の暮れ某一家は小さな子供をつれ、交通の良い便も良いベルリン市内へ引っ越した。引越しの片付けも済み、5ヶ月が過ぎた。新しい環境に慣れ、生活もやっと落ち着いた矢先に、賃貸住居の床材にアスベストが使用されている事が発覚。即時に賃貸契約を破棄し、それから1ヶ月後に速やかに退去した。

 

通常、賃貸契約の解約については、書面での解約依頼から3ヶ月と言う決まりがある。つまり、今日、住居を退去しても、3ヶ月間、家賃支払い等の義務が生じる。

また引越しをするにあたり、お金も時間もかかる。

まして新しく越してきたばかりなのに、直ちに次の住居を探し、引越しを余技なくされたのでは、心情穏やかでは無い。更に小さな子供がいるのも係わらず、発ガン性の高いアスベスト建材使用の住居は考えものである。

 

今回、問題となったはのはビニール製の床タイルである。このビニール製の床タイルは非飛散性アスベスト建材と言う事で削ったりしなければ、アスベスト繊維が空中に舞う事がないとされる。この一家が新しく入居した際に、既に傷や損傷した床タイルがあったと聞く。これを借り手側である一家が交換を仕様とした際にアスベストの使用が露見したんである。

そのような背景があり、一家は住居の大家を相手取り損害賠償を求め民事裁判を起したのである。

 

地方裁判所での第一審では一家の入居日より退去日までの家賃の20%の引き下げ、またアスベストが発覚する日までの不安要素に対する損害賠償とし、更に5%のの引き下げを命じた。

しかし第二審ではの判決では家賃の20%の引き下げ呑み認められてた。

理由としては損傷のある床タイルは9枚だけだったので、それに見合う額として20%が妥当と言う事であった。しかし通常、アスベストに因る健康被害を訴える際には、石綿飛散を証明すべく、空気中の石綿濃度の測定を行なわなければならない。もちろん費用はそれなりに掛かる。しかし二審の判決では「破損のある石綿含有建材は健康被害の可能性が十分に認められる」と言う事で濃度測定は不要だという結果にあった。

 

この裁判の重要な点は、アスベスト建材が利用されているマンションやアパート、テナントビルなどを貸している所有者や大家などが今後同じ様な理由で民事訴訟で起訴されるかもしれないと言う事である。

 

今回の場合、この貸主の損失は一家が滞在した5ヶ月間の家賃の20%だけで済んだのだが、もし住居者は退去までの3年間の健康被害を訴えた場合、または同じマンショウの他の住居者も似たような理由で同時に訴訟を起した場合、大家側の支払い費用は多くなるだろう。また加えて裁判の費用の負担なども掛かってくる。

実際に石綿関連で総額約500万円の家賃割引をする事になった事例もある。

 

現在、大家やビルのオーナーなどに石綿調査の義務はない。石綿の有無を知らずにいた為に、上記の様に、後になり借り手とトラブルになり、思いがけない費用が掛かってくる場合が増えてきていると聞く。事前にアスベストの「有無」を知っているのであれば、住居者に賃貸契約時に情報を与え、判断を任せる事ができる。

ベルリン市で現在推定8万戸の住居でビニールタイルなどの石綿建材が使われていると言う。住居やビルを貸す側は、自衛の意味を含め、石綿調査をする事を考えるべきだろう。なお調査費用は一検体大よそ約5千円位からだそうだ。

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タイルの下にアスベストがある

 

 

 

ドイツ・環境・「アシナシトカゲの話」

Blindschleich(ブリントシユライヘ)アシナシトカゲ

決して目が見えないわけでは無いが、なぜか目無し(Blind)だと言われている、この生物は実はトカゲである。足が無いのが特徴である。

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昔し高校の漢文の教科書に「蛇固無足。子安能為之足」と言った「蛇足」なる詩があった。もともと足の無い蛇に余計な足を描き加えた為、これでは蛇にあらずっと言う説話である。

話の内容は、何かの競争があり、早く綺麗に蛇を描く事で勝ち負けを競った。参加者で一番先に蛇を描いた人は、時間が余った為(また自分の画才を自慢する為?)蛇に足を描く加えたのである。結果、「これは蛇では無い」っと言う事になり、勝負に負けてしまった。

それより後、「蛇足」とは意味の無い余計な物を有らす言葉になった。

確かこんな感じの説話であった。子供心に「なるほどなぁ」と感心してしまった事を覚えている。

 

ではもともと足のあったトカゲが足をなくした場合はどうなるのか?やはり単純に足りないから「不足」なのだろうが、蛇足に習い、何か良き説話があれば大変興味深い。

 

さてこのアシナシトカゲだが、中央ヨーロッパでは多く見られる爬虫類で、ここ南ドイツでも暖かい(暑い?)夏の朝晩にアスファルトの道の上で休んでいる姿を見かける。

変温動物、つまり体温が外の環境温度に依存するため、とりわけ朝方などは夜の低い気温の為、体温も低く、活発な活動が出来ないのである。それを日光浴する事で体温を上昇さ、活動を開始する。私自身も冷え症なのか常時体温が低い。今後トカゲを見習い日光浴の習慣と取り入れたいと勝手に思っている。

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写真では蛇の様に見えるが蛇ではない。以下簡単に蛇との違いを挙げると、

1・・尾っぽが簡単にちぎれる。

2・・を感じる事が出来る。

3・・まぶたがあり、瞬きをする(結構カワイイ)。

4・・なお骨格には骨の残りが確認出切る。

 

「でも何故足が無いのか?」と考える事もある。好奇心の塊であるちびっ子達から質問される事も多々ある。

下記、思いあたる理由を簡単に書いてみる。

1・・自然界に「蛇は毒があって危険」と言う概念があり、たまたま足の無いトカゲが天敵から蛇と間違われ、生き残り、子孫を残し、それが増えてた。

 

と言う仮説も可能だが、

 

2・・広葉樹が多い南ヨーロッパの森では、落ち葉が地面にたまる。その落ち葉の中を進むには足で体重を支えて歩くより、体全体で体重を支え、蛇のようにクネクネと這って進む方が都合が良い。

 

のかもしれないし、また

 

3・・天敵に遭遇したときには狭い隙間にも容易に滑る込む事ができる。

 

そして特殊化した事で

 

4・・他のトカゲの種と生活層めぐって競争する事が少なくなり、故に悠々自適な生活ができる。

そのような様々な要因と偶然が重なり結果とし足が退化したのであろう。

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話には聞いていたが、やはり初めて遭遇したときには「なんだこいつは?」と言うのが率直な感想である。爬虫類が苦手な人でも一見する価値があると自分は思う。そして、その奇妙な姿を目にし、進化について思いを馳せる、そんな夏の午後がたまに有っても良いだろう。

 

 

下記辞典によるデーター

  • 長さ 35から55cm
  • 重さ 500から1500g
  • 食性 昆虫一般、芋虫、ミミズ、ナメクジ・カタツムリなど
  • 寿命 10から50年
  • 繁殖 5月から6月。なお卵胎生(卵がメスの体内で育って、孵化する)なので10cmくらいの小さなトカゲとし産まれてくる。

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ドイツ・環境・「アフリカのゾウの引越しの話」

Aflikaアフリカ東部に位置する小さな国、マラウイ共和国。国立公園、森林保護区、動物保護区が周辺にあり、自然を満喫できる。また国土の3分の1をが占めマラウイ湖は北海道と九州を合わせたぐらいの大きさだと聞く。

 

今回はヨーロッパの話では無いのだがゾウの引越しの話を紹介。

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マラウィ政府はアフリカゾウの密猟防止キャンペーンの一環として、押収した密猟象牙など6・6トンの焼却をしたっと言う話を聞いたのは昨年の事である。その価値数百万ドルだと言われている。

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現在アフリカゾウは絶滅のおそれがある種に分類されている。ワシントン条約の締結により象牙の取引が禁止になったのは確か80年代の終わりだったと記憶している。しかし90年代の後期になり、一部の国でゾウの生息数が増えすぎたという理由で象牙の取引が再開されると、それに伴い需要、すなわち買い手も急増。結果再び密猟が盛んになったっと聞く。

 

20世紀はじめ、生息していたゾウの数は300万から500万頭だといわれる。調査がなされるようになってから、アフリカ大陸全体としの生息数は減り続け現在は50%まで生息数が減ってしまった。WWFの調査によれば2010年から2012年末までに密猟により命を落としたゾウの数10万頭。現在のゾウの生息数は47万頭だと言われる。

 

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マラウイ共和国にはマラウイ湖につなぐ大きな川が数本流れており、本来ゾウの生息地であった。その数1500頭、しかしその姿が消えはじめ、近年100頭まで減ってしまった。背景には象牙の密猟がある。また近年の人口増加、あるいは干ばつなどによる食料不足によって人間とゾウとの衝突も増え、殺されるゾウも後をたたない。また狭い地域に生息するゾウの数が増えすぎてしまいゾウ自身による環境破壊の問題も多発している。

 

その様な背景があり、ゾウの「引越し」が決まった。近年マラウイ共和国では積極的にゾウの引越しを行なっており、効果を収めている。しかし今回は500頭と言う数を数ヶ月間掛けてコタコタ野生動物保護区(面積約1750km2、香川県よりちょっと小さくいくらい」に移動させるという、大規模プロジェクトになる。なおこの大規模プロジェクトはAfrican Parks (NPO)及び政府機関によって進捗されている。

なおその背景には野生動物を重要な観光資源とし捉えている部分もあるが、私個人の意見としては、「それでも良い」と思う。

 

実際の捕獲方法なのだがレンジャーがヘリコプターからダート銃で鎮静剤をゾウに打つ。その際、ゾウの家族・群れがバラバラにならないよう、一回の作業でゾウの家族・群れを全て捕獲しないといけないらしい。麻酔後、一頭づつ体に番号をスプレーで書いていく。この作業には現地の子供達も参加している。その後クレーン車で一頭づつ大型トラックの荷台に乗せて固定してく。

移動距離300キロ。ゾウ達はコタコタ野生動物保護区とへと運ばれていく。なお麻酔の効果時間は最長で24時間。それまでにすべての作業を終へ、引越し先の柵内までゾウ達を運び込まなければならない。なお到着後、ゾウ達は引越し先の環境になれるまでの数日間は柵内に留まる事になるが、その後柵から放たれる。

 

さてこの引越し費用だが大よそ約160万ドル、日本円で1億6000万弱だと聞く。加えて囲い柵や、パトロール、また法律との調整の為に更なる費用が掛かる。政府資金だけではなく慈善財団からの援助金。また面白い事にオランダ郵便局の発行している宝くじの収益金の一部も寄与されていると聞く。

 

なお余談なのだがこのプロジェクトに英国のハリー王子も一役買っているとの事。一時期そのやんちゃぶりを発揮し世間を騒がす事も多々あったのだが、最近は大分「大人」になったとか。昨年よりサイやゾウなど絶滅が危ぐされている野生動物の保護プロジェクトの為にアフリカをたびたび訪れている。今回もその一貫で何らかの形でプロジェクトに貢献すべく、現地を訪問していると聞く。

 

 

ドイツ・環境・「イタリア・アスベスト除去予算の話」

負の遺産と戦い続けるイタリア。ヨーロッパの中でも数少ないアスベスト採取・生産国であった。今もまだ過去の亡霊を引きずっている。この亡霊と少しでも早く決別すべきイタリアはここ3年間の石綿対策費を可決した。

2016年の予算は550万ユーロ(約6.2億円)17年及び18年は更に予算を増やし、各年度600万ユーロ(約6.8億円)だと聞く。

 

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この予算は「現在まだ多く使用されているアスベスト」の現状改善を目的とするもので、環境保護法の一部として可決された。

今回、公共建築物のアスベストの除去及び廃棄作業、屋根などの石綿セメントのスレートの除去などが対象とされている。

 

イタリア環境省ガルレッティ担当大臣は「これにより、多くの公共建築物からアスベストを除去で出来ると共にさらに地域の企業などと協力しながらプロジェクトに推進したい」とコメント。

費用の確保、更なる石綿対策プロジェクトの推進、隠されている危険性をはっきり示す事が重要であると言う。

 

助成金額は費用の50から100%で付加価値税を控除し付与されるという。ちなみにイタリアは確か付加価値税22%だと記憶している。なお予算の割り当て先に関しては毎年調整しなおされる予定である。

 

助成に関しての優先順位も決められており、幼稚園、学校、公園、病院そしてスポーツ施設など、とりわけ子供たちに多く利用される施設、そしてその施設から半径50mの地域を中心に対策が展開される。またその他の基準としては、一年以内で完了できる石綿対策、厚生当局や環境当局が「即時にアスベスト対策を必要」と判断した建築物、国益に繋がる公な建築物、そして既にアスベストのマッピングが存在する建物などが対象となる。

 

また今回のプロジェクトにあたり、技術報告書、石綿含有物質に関する調査書、具体的な除去費用に関する書類、そして経済状態を示す書類などの提出が義務づけらている。

 

さらに学校施設対象のリモートセンシングの先駆けプロジェクトの展開も予定されている。

これは学校校舎内にあるアスベストをマッピングして記録するシステムである。アレッサンドリア、ピサ、サレルノの3県からスタートさせるという話である。

 

ちなみにここドイツでは国のアスベスト対策費予算の話は聞かない。民間の建築物の場合、石綿除去工事などに掛かった費用は、確定申告の際に控除の対象にはなると聞く。ただし事前に専門のアスベスト調査機関に石綿除去の即時・随時必要性を判断してもらう必要がある。その際に即時除去の必要性が認められた場合、控除の対象になる。すなわち石綿スレートの屋根などで、現在アスベスト繊維の飛散がない場合は、即時除去の必要性がなく、控除の対象にならないらしい。なのでなかなか石綿スレートが減らないのが現状である。

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ドイツ・環境・「イタリア・エタニット社の話」

Casale Monferrato カザーレ・モンフェッラートはイタリア北部、トリノ郊外に位置する街である。

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街中には多くの古い建物が残されており、なかなか見ごたえがある。周辺には田園が広がり、またイタリアきってのワイン産地として有名である。

 

しかしこの町の名はもう一つの大きな出来事でも知れらるようになった。

 

汚名の多い、スイスの建築資材メーカー・エタニット社。イタリアのカザーレ市に工場があり、1985年まで操業していた。その工場の従業員・周辺住民23000人がアスベストによる疾患で死亡したと言うイタリアでの社会問題は決して過去の事ではない。

 

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労災認定者、約1700人。彼らには補償金及び労災が払われる結果となったのは90年代初期の事である。

90年中期より、アスベスト環境曝露による被害者数も増えてきた。その数大よそ500人。彼らは環境曝露の為、労災の対象外となり、補償もないままであった。

 

2009年、当時のスイス人及びベルギー人の経営者2名(シュミットハイニ被告、ルイ・ド・カルティエ被告)が過失致死罪・環境破壊罪及び安全配慮義務違反の容疑で起訴された事は記憶に新しい。なお2056件の死亡被害と833件の疾病被害の責任が問われた。

 

トリノ裁判所での一審・二審では有罪判決が下だり、また二審では禁固刑18年及び賠償命令が言い渡された。しかし、この判決を不服した被告側は上告。最高裁で経営者の責任追及がなされる結果となった。

しかし最高裁での判決はアスベスト被害の犠牲者やその遺族の気持ちを顧みないものであった。「既に時効が成立している」との理由で同被告は免訴になったのである。すなわち裁判が打ち切られ、法の基での責任追及が無効になった。賠償命令も取り消された。2014年の冬の出来事であった。

 

それから約半年後、2015年夏。トリノ裁判所の検察当局をはじめ閣僚評議会議、ピエモンテ州、アレッサンドリア県などがローマの最高裁の判決を批判すると共に、原告人となり、スイス人元経営者シュミットハイニ氏の再審を要求した。起訴の理由としてはアスベストによる健康被害での死亡者258名に対しての過失致死罪である。

 

ここで問題になったのは一事不再理の原則である。つまり「ある事件で一度裁判で責任を追求した場合、同じ事件で有罪・無罪・免訴に関係なく、再び起訴できない」っと言う決まりがある。今回の258名に対しての過失致死罪での起訴が憲法違反にあたるかどうかを判断するため、まずはイタリア憲法裁判所にて審議が行なわれ事となった。

 

その判決が2016年今月21日に下った。

 

今回の起訴内容258名のうち、186名に関しては一事不再理の原則にて再審不可と言う内容であり、「起訴状より186名を削除するように」とトリノ裁判所の検察当局に伝えられた。

 

しかし逆の見方をすれば残り72名の過失致死罪での起訴の可能がまだ残っているとみられている。

 

シュミットハイニ氏の代理弁護人は「前回の裁判ではすべて決着がついている」とコメント。また一事不再理の原則とは同一事件で再審を受けないという事なので、つまり今回新たな被害者名が挙ても事件としては前回と起訴内容と同じでものであるっと言う見解を示したと聞く。

 

これに対し原告側は「法律に基づく訴追責任の権利」を主張。前回の裁判では「時効」と言うで事で、結局有罪でも無罪でもない判決結果である。すなわち検査当局に責任追及の権利があると言う意見もある。

また原告側は「被害者の救済を行なわない為、今後欧州人権裁判の介入の可能性もある」とコメントとした。

エタニット裁判はまだ終わっていない。

 

 

 

 

ドイツ・環境・自然とビールを愛するドイツ人

Natur & Bier (ナチュゥアー&ビァ)自然とビールを愛するドイツ人。

 

多くの企業がCSRとし環境問題への取り組んでいる、今日。その中でクロンバッハ社の環境プロジェクトを紹介したい。

 

クロンバッハ社はケルンから東に200キロほど行った、のどかな田舎町「クロンバッハ」にある醸造所。200年以上の歴史がある。麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とした口当たりが滑らかなピルスナーはドイツで好まれ、飲まれるピルスビールの10杯に1杯はこのクロンバッハのピルスナーであるとも言われている。とりわけ麦芽の風味が強い事から「飲むパン」と言われる所以が納得できる。多くのドイツ人愛され、国内消費量ナンバーワンと言っても過言ではない。

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そのクロンバッハ社がWWF(世界自然保護基金)、NABU(ドイツ自然保護連盟)などと提携し生物多様性保全の為に一役買った。

現在ドイツ国内で約71,500種の動・植物が確認されている。そのうち約1/3の動・植物が希少種・絶滅の恐れがあると数えられており、また今世紀までに6%、約4300種がドイツ国内では絶滅したと言われている。

生物多様性、環境保全はドイツでは決して新しい課題ではい。何十年も取り組んでいるにも関わらず、現在する動植物の生活環境の61%は「悪い環境」としてランク付けされているのが現状だ。

そのような調査結果(最新版2014年)が背景にあり、今回の大規模な生物多様性保全キャンペーンが行なわれた。ちなみにモットーは「保護と満喫」。ビールの味わいを満喫する事と自然を満喫する事がかけてある。

 

簡単に説明するとビール1ケースを購入すると10セント(約11円)が保全プロジェクトに流れる仕組みになっている。さらい小粋なのはビール瓶に貼ってある銘柄ラベルの裏側に動物の写真ステッカーが貼ってあり、これをコレクションをする事もできる。もちろんコレクション用のアルバムも用意されており、「収集」と言う人間本能をくすぐっている。

 

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生物多様性保全キャンペーンでの収益金は具体的には以下の6つのプロジェクトに使われると言う。

1.オオヤマネコ(リンクス):

  ドイツ・フランス国境にあるペルツァーの森への野生復帰・移住計画。

2.カワウソ:

  北ドイツ・ゴーデン村にて、カワウソの生息域の水位の回復

3.カワウソ:

  交通事故防止の為の横断用トンネルの設置。

4.アシナガワシ:

  北ドイツ・ポーランド国境近くにある湿原での原生林保護。

5.アシナガワシ:

 獲物の狩りに適した開けた草原などの保全。

6.ナベコウ(黒コウノトリ):

  ブランデンブルク州。水深が浅い池沼の保護・水質保全。

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キャンペーン期間は4月15日より今月15日までの3ヶ月間。当初の目標金額は1,500,000ユーロだったが最終的には1,862,165ユーロ(約217,661,018円)に達したと言う。計算すると約18、000,000ケースが売れたという事になる。

 

ビールを飲みながら、環境問題について語る。いかにもビールと自然を愛するドイツ人らしき発想ではないだろうか?